片山利弘

片山利弘：国際的な活躍を見せたデザイナー、アーティスト

片山利弘（1928年～2013年）は、グラフィックデザイン、サイトスペシフィックアート、そして建築や彫刻など、多岐にわたる分野で卓越した才能を発揮したアーティストです。1928年、画家の片山弘峰を父に大阪府で生まれました。

若き日からデザイン界の中枢で活躍し、1950年代初頭には永井一正、木村恒久、田中一光らとともにデザイン研究会「Aクラブ」を結成。その後、亀倉雄策らが主催する「21の会」にも参加するなど、日本のデザイン界を代表する巨匠たちとの交流を深めました。亀倉雄策、河野鷹思、早川良雄、杉浦康平、福田繁雄、そして建築家の丹下健三といった錚々たる面々と親交を持ち、その影響を自身の作品に反映させていきました。

1960年には日本デザインセンター設立に参画。1963年にはスイスのガイギー社に招聘され、アートディレクターとして3年間バーゼル市に滞在しました。このスイスでの経験は、彼にとって大きな転換期となり、デザインのみならずアート、建築といった幅広い分野へと活動の場を広げていくきっかけとなります。

1965年には「Visual Construction」と題した作品シリーズを発表し、スイス各地で個展を開催。同年に東京の松屋で開催された「ペルソナ展」にも出品し、高い評価を受けました。

その後、1966年にはハーバード大学の招聘を受け、カーペンター視覚芸術センターで教育とデザインの仕事に携わるためアメリカへと移住。以降、長年に渡りハーバード大学で教鞭をとり、多くの教え子たちがアートディレクター、デザイナー、建築家として世界中で活躍するようになりました。

ハーバード大学在籍中は、ニューヨークのアメリカン・グラフィックアーツ協会(AIGA)ギャラリーでの個展開催(1968年)や、観客参加型の可変性絵画「Square + Movement」を発表した東京での個展(1970年)など、精力的に創作活動を続けました。詩人オクタビオ・パスとの共著による「動く詩画集」三部作(1974年)の刊行や、ボストン地下鉄の壁画制作(1975年)など、多様な表現方法を駆使した作品を発表し続けました。

ハーバード大学での活動と並行して、日本でも個展を繰り返し開催。1981年には『片山利弘作品集』を刊行し、出版記念展を開催しました。

1990年にはハーバード大学教授および視覚芸術センター所長に就任。1995年にはハーバード大学視覚芸術センターで30年にわたる活動を振り返る回顧展を開催し、同大学を退職しました。

退職後も、建築空間のデザイン、公共空間のデザインなど、幅広く活動を続けました。新宿NSビル、赤坂プリンスホテル、大宮ソニックシティ、大原美術館など、数多くの建築物に彼の作品は息づいています。

主な仕事としては、日本盛、ターナー色彩、ニコンなどの企業CIやパッケージデザイン、ポスター、カレンダーのデザイン、そしてボストン地下鉄の壁画や彫刻、公共広場のデザインなどが挙げられます。

2013年1月9日、食道がんのため84歳で死去。彼の作品は、デザイン、アート、建築といった分野を超えて、多くの人々にインスピレーションを与え続けています。

主な受賞歴・著書など

1997年：日本建築美術工芸協会最高賞受賞
著書：『片山利弘作品集』（鹿島出版会）、『ハーバード大学・視覚芸術センター 片山利弘教室 4-8ヵ月間のグラフィックデザイン演習』（武蔵野美術大学）、『ハーバード大学・視覚芸術センター 片山利弘教授 グラフィック・デザイン教室』（京都造形芸術大学）など

関連人物

金重業、亀倉雄策、早川良雄、永井一正、河野鷹思、田中一光、木村恒久、原弘、福田繁雄、杉浦康平、丹下健三、丹下憲孝、片山哲夫、マックス・フーバーなど、多くの著名なデザイナーや建築家と交流がありました。

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