片山博通

片山博通について

片山博通（かたやま ひろみち）は、1907年12月22日に京都に生まれたシテ方観世流の能楽師であり、観世流職分家の八世当主である片山九郎右衛門の名を持っています。能楽という伝統芸能に深く根ざした家庭に生まれ育った彼は、能楽師としての道を歩み始めた早い段階から、その才能を発揮しました。

生涯とキャリア

博通は、父親である片山九郎三郎（後の七世片山九郎右衛門）の次男として誕生し、能楽の基礎を家庭内で学びました。1928年には雑誌『観世』の創刊に関わるなど、能楽の普及に対しても情熱を燃やしていました。1944年には家名の八世片山九郎右衛門を襲名し、自身の名前が世に知られるようになりましたが、1958年には再び博通の名に戻します。この変遷には、彼自身の能楽に対する考え方の変化があったのかもしれません。

1963年3月10日、神戸市の湊川神社で行われた演能中に急性くも膜下出血により急逝してしまいます。彼の突然の死は、能楽界において大きな衝撃をもたらしました。また、兄は二十四世観世宗家の観世左近であり、彼もまた能楽の第一線で活躍していました。私生活においては、京舞井上流四世の家元である井上八千代と結婚し、子供には九世当主である片山九郎右衛門がいます。

著作

片山博通は、能楽師としての活動にとどまらず、作家としても多くの著作を残しました。代表的な著作には以下のものがあります。

• - 『幽花亭隨筆』：1934年に発表され、能楽に関連した政治的、文化的なトピックを扱っています。
• - 『愛慾煩悩』：1936年に私家版として出版され、個人の感情や欲望について探求しています。
• - 『眞の花』：1942年には能楽におすすめの作品を集め、発表しています。
• - 『藝道一路』：1952年に発行されたこの書籍は、能楽の道を歩む者に向けた指南や見解を述べています。
• - 『觀世家傳來能面集』：1954年には、観世家に伝わる能面を紹介した貴重な資料を発表しました。

これらの著作は、能楽の理解を深めるための資料として、また彼自身の思想や芸術に対する姿勢を示す重要な作品として評価されています。

まとめ

片山博通は、能楽界における重要な人物であり、その影響は今でも感じられます。彼の功績は、家庭の伝統を引き継ぎながらも、自身の個性を出した点にあります。今後も彼の作品や業績は、能楽の愛好者だけでなく、広く日本の伝統芸能に興味を持つ人々によって受け継がれることでしょう。

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