片山和俊

片山和俊：建築家、研究者、教育者の生涯

片山和俊氏は、1941年生まれの日本の建築家、建築研究者、そして教育者です。東京芸術大学名誉教授を務め、そのキャリアは建築設計から学術研究、教育指導まで多岐に渡ります。長年にわたる活動を通して、日本の建築界に多大な貢献を果たしてきました。

教育と研究の経歴

東京芸術大学を卒業後、同大学院修士課程を修了。その後、環境設計茂木研究室で建築実務を経験し、1989年から2009年まで東京芸術大学美術学部教授として後進の育成に尽力しました。

教育活動と並行して、片山氏は建築研究にも積極的に取り組んでいます。特に、住環境に関する研究は氏の専門分野であり、長年にわたって、日本の集合住宅や中国の民居など、様々な居住空間の実測調査や比較研究を実施してきました。

1978年には旧文部省在外研究員としてヨーロッパの住宅団地を調査。1984年から1998年にかけては中国各地で民居の調査を行い、その成果は多くの論文や著書に結実しています。1999年にはトヨタ財団の助成を受け江西省の客家土楼を、2005年には住宅総合研究財団の助成を受け広東省の客家楼を調査するなど、中国の伝統的な建築様式に関する研究にも力を入れています。

これらの研究活動を通して、片山氏は住環境の質の向上に貢献するとともに、日本の建築界に新たな知見をもたらしました。

建築設計における貢献

片山氏の建築設計作品は、住宅を中心に公共建築や景観計画にまで及びます。主な作品には、木曽馬籠拠点施設群(1989-1990年)、彩の国ふれあいの森森林科学館・宿泊棟(1991-1994年)、世田谷区上野毛出張所・地区会館(1994年)、くまもとアートポリス南小国町営住宅杉田団地建替計画(2001-2005年)、旧児玉邸画室仏蘭西屋移築再生(2005年)などがあります。

特に「彩の国ふれあいの森森林科学館・宿泊棟」は、1995年に日本建築家協会JIA新人賞、1996年には日本建築学会作品選奨を受賞するなど高い評価を得ています。また、山形県金山町との関わりも深く、同町の「町並みづくり100年運動」推進への貢献により、2002年には日本建築学会賞を受賞しました。この活動は、地域社会の活性化に大きく貢献したものとして高く評価されています。

受賞歴と業績

片山氏の建築設計と研究活動は、数々の賞に輝いています。

日本建築家協会JIA新人賞
日本建築学会作品選奨
日本建築学会賞
日刊工業新聞技術科学図書文化賞

これらの受賞歴は、片山氏の建築家、研究者としての卓越した能力と業績を示すものです。

まとめ

片山和俊氏は、建築家、研究者、教育者として多様な活動を展開し、日本の建築界に大きな足跡を残しました。その活動は、設計、研究、教育の三つの柱で支えられ、それぞれにおいて高い評価を受けています。今後も、日本の建築文化の発展に貢献していくことが期待されます。彼の活動は、単なる建築設計にとどまらず、地域社会の活性化や、住環境の向上にまで広がり、その多角的なアプローチが彼の成功の鍵と言えるでしょう。

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