片岡仁左衛門 (7代目)

七代目片岡仁左衛門：努力と長寿で彩られた歌舞伎役者の一生

七代目片岡仁左衛門は、宝暦5年（1755年）に京で生まれ、天保8年（1837年）に83歳で亡くなった江戸時代中期から後期にかけて活躍した歌舞伎役者です。屋号は松嶋屋、俳名は我童、萬麿、梅里と変化に富み、定紋は七つ割丸に二引、雅号は南麗舎と、多彩な顔を持っていました。

彼の経歴は波乱に満ち溢れています。初代淺尾國五郎の弟として生まれた彼は、二代目中村十蔵に師事し、中村松助を名乗り、子供芝居からキャリアをスタートさせます。その後、初代淺尾為十郎の門下に入り、二代目淺尾國五郎を襲名。しかし、師匠から一時破門され、山澤國五郎と名乗る時期もありました。それでも持ち前の才能と努力で許され、京と大坂の舞台で活躍します。

転機は天明8年（1788年）に訪れます。大坂の叶雛助の許しを得て、長く途絶えていた片岡仁左衛門の名跡を七代目として再興したのです。この襲名によって、彼の名は広く知られることとなり、さらなる飛躍の足掛かりとなりました。寛政6年（1794年）、並木五瓶とともに江戸に進出し、都座の舞台にも立ちます。翌年には上方に戻り、その後は京、大坂、名古屋など各地で活躍を続けました。

七代目片岡仁左衛門の演技は、時代物、世話物、所作事と幅広く、立役、女形、実悪、敵役などあらゆる役柄をこなせるオールラウンダーでした。その演技力は高く評価され、門閥外から座頭という地位まで上り詰めた彼の努力は、後世の役者たちに大きな影響を与えました。晩年には肥満体となっていましたが、それでも釣り合った容姿で、観客を魅了し続けたといいます。

私生活では、早世した初代片岡愛之助をもうけ、養子に八代目片岡仁左衛門を迎えました。また、初代片岡市蔵など多くの門弟を育成し、歌舞伎界の発展に貢献しました。83歳という当時としては稀に見る長寿を全うし、生涯現役として舞台に立ち続けました。没後、大阪市の薬王寺に眠っています。

七代目片岡仁左衛門は、並外れた努力と才能、そして長寿によって、歌舞伎の歴史に大きな足跡を残した、まさに伝説的な役者と言えるでしょう。彼の生き様は、現代の私たちにも多くの示唆を与えてくれます。彼の活躍は、単なる役者としての成功物語にとどまらず、時代を超えて人々を魅了する、不屈の精神と芸術への情熱の物語なのです。彼の功績は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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