片岡孝夫の好青年探偵シリーズ

片岡孝夫の好青年探偵シリーズ

1980年代にテレビ朝日系列の「土曜ワイド劇場」で放送された人気シリーズ、「片岡孝夫の好青年探偵シリーズ」。朝日放送と大映テレビが制作を担当し、現在十五世仁左衛門を襲名している片岡孝夫が主演を務めました。

このシリーズの特徴は、片岡孝夫演じる主人公が、作品ごとに異なる職業に扮して事件を解決していく点にあります。第1弾と第2弾では私立探偵の藤枝真太郎として、第3弾と第4弾では画家の波多野丈二として、第5弾ではニュースキャスターの上条昌彦として、そして第6弾と第7弾では検事の千草泰輔として活躍します。それぞれの役柄に合わせた個性的な魅力と、緻密な推理で複雑な事件の謎を解き明かしていく様子は、視聴者を飽きさせません。

扱われる事件は、いずれも残虐な連続殺人事件です。犠牲者たちは、痛ましい方法で殺害されており、その手口の残忍さ、そして事件の背景にある人間の業は、見る者に強い衝撃を与えます。しかし、単なるグロテスクな描写にとどまらず、事件の裏に潜む人間の心理や社会問題なども丁寧に描かれており、単なるエンターテイメント作品としてだけでなく、社会派サスペンスとしても高い評価を得ています。

各作品の詳細

シリーズ全7作品にはそれぞれ個性的なタイトルが付けられており、事件の舞台や登場人物にも多様なバリエーションが見られます。以下、各作品の概要です。

第1作『昭和7年の姦通殺人鬼 血に染まった函館』（1980年）
私立探偵・藤枝真太郎が、函館を舞台に姦通殺人事件の謎に挑みます。

第2作『昭和7年の血縁殺人鬼 呪われた流氷』（1981年）
引き続き私立探偵・藤枝真太郎が、流氷の浮かぶ海で起こった血縁殺人事件に挑みます。

第3作『十和田湖に消えた女 連続レイプ殺人事件 死体の胸に真紅の花』（1982年）
画家・波多野丈二が、十和田湖を舞台に連続レイプ殺人事件の謎に迫ります。本作では、片岡孝夫演じる波多野丈二の芸術家としての繊細さと、事件解決への鋭い洞察力が描かれています。

第4作『七年待った妻 裸女モデル殺人事件 私は夫に殺される!』（1984年）
画家・波多野丈二が、モデル殺害事件の真相を追います。

第5作『狙われた婚約者 白衣を襲う暴行魔 無影灯だけが知っている』（1985年）
ニュースキャスター・上条昌彦が、病院を舞台に起こる連続暴行事件の謎に挑みます。

第6作『針の誘い 幼児が消えた、金か恨みか? 人妻に仕掛けられた黒い罠』（1986年）
検事・千草泰輔が、誘拐事件の真相を追います。

第7作『青いカラス連続殺人 女の肌を焼く恨みの炎!』（1986年）
検事・千草泰輔が、連続殺人事件の謎に挑みます。複雑な人間関係と、過去の出来事が絡み合う、重厚なストーリーが展開されます。

キャスト

各作品には、片岡孝夫のほか、岡本信人、酒井和歌子、根上淳、松尾嘉代、西崎みどり、佳那晃子、にしきのあきら、清水綋治、藤岡琢也、相本久美子、仲谷昇、MIE、山城新伍、林寛子、船戸順など、個性豊かな俳優陣が出演しています。脇を固める俳優陣の演技も、作品全体のクオリティを高めています。

スタッフ

原作は浜尾四郎、笹沢左保、土屋隆夫といった人気作家が担当。脚本には山浦弘靖、長野洋、井上芳夫、國弘威雄といったベテラン脚本家が名を連ねています。音楽は小川よしあき、菅野光亮といった作曲家が担当し、作品の世界観をさらに深めています。監督には國原俊明、井上芳夫が名を連ねています。

このシリーズは、片岡孝夫の演技力、練られた脚本、そして豪華なキャスト陣の相乗効果によって生み出された、質の高いサスペンスドラマとして高い評価を受けています。現在では、再放送や配信サービスでの視聴も可能となっているため、改めてこの名作に触れてみるのも良いでしょう。

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