片腕ドラゴン

『片腕ドラゴン』（原題：獨臂拳王、英題：One-Armed Boxer）は、1972年に香港のゴールデン・ハーベストが製作したカンフー映画です。監督、脚本、主演を務めたのは、ジミー・ウォング。彼のショウ・ブラザーズ時代を代表する作品『片腕必殺剣』を彷彿とさせる設定で、剣戟映画からカンフー映画へとジャンルを変えた意欲作と言えるでしょう。

日本では1974年に東和（現東宝東和）が配給し公開されました。高い人気を博し、1975年には続編『片腕カンフー対空とぶギロチン』も制作されるなど、大きな話題となりました。

物語は、正徳武館でカンフーの修行に励むチェンロン（ジミー・ウォング）を中心に展開します。彼は料理店で、対立する鉄鉤門の門下生に絡まれている客を助けたことから、彼らと激しい乱闘に巻き込まれます。

嘘の報告を受けた鉄鉤門の師匠、チャオは、怒り狂って正徳武館に襲いかかりますが、道場主であるハンとその弟子たちによって撃退されます。しかし、面子を失ったチャオは、アジア各国から腕利きの格闘家を雇い入れ、再び正徳武館への攻撃を開始します。

壮絶な戦いの末、チェンロンは沖縄空手の達人である二谷太郎と遭遇し、右腕を切り落とされてしまいます。絶体絶命の危機を乗り越えたチェンロンは、秘薬の力を借りて残った左腕を鍛え上げ、岩をも砕くほどの破壊力を持つ必殺の拳を手に入れます。そして、遂にチャオとその一味への壮絶な復讐を果たすのです。

ジミー・ウォングの他に、レイモンド・チョウが製作、チェン・シーウェイが武術指導として参加しています。ジミー・ウォングのダイナミックなアクションと、緊迫感あふれるストーリー展開は、多くの観客を魅了しました。

この作品は、後世の多くのカンフー映画に影響を与え、その中でも特筆すべきは、怪獣映画『ガメラ3 邪神覚醒』です。ガメラが片腕を失うという劇的な展開は、『片腕ドラゴン』のヒロイズムを意識した演出であったとされています。

『片腕ドラゴン』は、香港カンフー映画史に残る名作として、現在でも高い評価を受けています。その迫力あるアクションシーンと、主人公の壮絶な復讐劇は、多くの観客に感動と興奮を与え続けるでしょう。ジミー・ウォングの代表作として、そしてカンフー映画史における重要な作品として、今後も語り継がれていくことでしょう。allcinema、KINENOTE、IMDb、香港影庫といったサイトで、より詳細な情報を確認することができます。

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