牛の角突き

牛の角突きとは

牛の角突き（うしのつのつき）は、新潟県の長岡市山古志地域と小千谷市を中心に、江戸時代から続いている伝統的な闘牛の形態です。この行事は、国の重要無形民俗文化財としても認められており、地域の文化や絆を象徴しています。

歴史の背景

牛の角突きの発祥は、数世代に渡る長い歴史を有し、二十村郷地域では百年以上の長きにわたって行われてきたとされています。一説には千年もの歴史があると言われるこの伝統は、江戸時代後期に橋本新七郎が著した小説『南総里見八犬伝』に登場することから、その存在が確認されています。

起源に関しては、いくつかの説が存在します。一つは、岩手県南部から商人がやってきた際に、運搬用の牛が闘牛に使われるようになったというものです。もう一つの説は、大陸から移住した人々が牛を持ち込み、闘牛祭りを伝えたというものです。ただし、どちらの説も確定的なものではありません。

明治から大正にかけては、二十村郷には約130軒の家がそれぞれ1～2頭の牛を飼い、盛んに角突きが行われていました。1978年にこの伝統が重要無形民俗文化財として認定されました。その後、2004年の新潟県中越地震によって一度は開催が中断されましたが、2005年には復興が果たされました。

中越地震の影響と復興

新潟県中越地震では、多くの伝統が失われる危機に直面しましたが、長岡市や小千谷市では仮設の闘牛場が設けられ、活動が再開されました。闘牛場は長岡市の東山ファミリーランドや小千谷市の白山総合運動場などで設置されました。これにより、地域の伝統文化が再び息を吹き返し、継承されることとなりました。

牛の角突きの特徴

牛の角突きのスタイルは、他の地域の闘牛と異なっており、勝敗が明確に決まる前に引き離されるのが基本です。これは、この行事が神事であり、牛の闘争心を維持するためでもあります。勢子と呼ばれる者が牛の鼻綱を放し、牛同士を組み合わせて戦わせます。

会場と参加

牛の角突きは、山古志闘牛場（長岡市山古志南平）や小千谷闘牛場（小千谷市小栗山）で行われ、主に5月から11月ころまでの間に毎月1回のペースで開催されます。闘牛場には、これまで女性が立ち入ることは禁じられていましたが、2018年からは牛の引き回しのために女性の立ち入りが認められるようになりました。これも、女性ファンが牛のオーナー役として「女子部」を作り、普及活動を展開したことが影響しているようです。

映画と文化

牛の角突きは、1981年に製作された映画『越後二十村郷の牛の角突』でも取り上げられており、地域の重要な文化として広く認知されています。このような文化活動や伝承は、今後も地域のアイデンティティを支える重要な要素となることでしょう。

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