牛場信彦

牛場信彦の生涯と業績

牛場信彦は、1909年11月16日に誕生し、1984年12月31日に亡くなった日本の著名な外交官です。彼は福田赳夫改造内閣で対外経済担当大臣として知られ、特に世界和平連合会の理事としてもその名を馳せました。

家族背景

牛場は外交官の家系に生まれました。祖父は牛場卓蔵であり、兄の牛場友彦は近衛文麿の秘書官を務めました。さらに、弟の牛場大蔵は慶應義塾大学医学部の教授として活躍し、国家公安委員会の委員としても知られています。このような影響力ある家族の中で彼は成長し、高い教育を受けました。

学歴と外交官としてのキャリア

彼は東京府立一中や第一高等学校を経て、1932年には東京帝国大学法学部法律学科を卒業しました。外交の道に進むと、外務省に入省し、第二次世界大戦敗戦までドイツ畑で勤務しました。ルプレヒト・カール大学ハイデルベルクでドイツ語の研修を受けた後、在ドイツの日本大使館や、イギリスの日本大使館での勤務も経験しました。

戦後、牛場は親米派の外交官として特に知られるようになりますが、戦時中は革新派として活動しました。イギリスの仲介を通じて日中戦争の解決に努める中、宇垣一成外務大臣の方針に反発し、彼の仲間と共に抗議行動に参加したこともありました。1941年には駐英日本大使館の三等書記官に任命され、その後1942年には駐独日本大使館でも同様の役職を務めました。

戦後の活動と外務省での役職

1945年の敗戦後には、外国為替管理委員会の事務局長として再び外交の現場に戻ります。一時外務省を退官した後、1952年には新設された通商産業省にて通商局長を務め、対外経済政策に貢献しました。その後も在ビルマ大使館の参事官や外務省の経済局長、駐カナダ大使、外務審議官、外務事務次官といった多くの要職を歴任しました。

1970年には外務事務次官を退官し、その後駐米大使として沖縄返還交渉や日米繊維摩擦の交渉を担いました。ここでも宮澤喜一氏や山下英明氏などと連携し、日米交渉に臨みましたが、政治的な影響を受けて1971年に駐米大使を辞任しました。

1973年には新設された日米欧三極委員会に参加し、さらに1977年には福田赳夫改造内閣で対外経済担当大臣に選ばれました。在任中は欧米との経済摩擦の問題に取り組み、意欲的な活動を展開しました。1982年には勲一等旭日大綬章を受章し、1984年には日米諮問委員会の日本側代表としても活動しましたが、同年肝不全のために亡くなりました。

著作と評伝

牛場はまた著作にも精力的で、『自由化読本』や『日本経済外交の系譜――新たな世界的展望を求めて』など複数の書籍を発表しています。彼の生涯を描いた評伝もいくつか出版されており、特に浅海保による『変節と愛国　外交官・牛場信彦の生涯』が注目されています。

彼の外交キャリアは日本の国際関係において多大な影響を与え、今日の対外政策の礎となっています。

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