宇垣一成

宇垣一成の生涯と影響

概要

宇垣一成（うがき かずしげ、1868年－1956年）は、日本の陸軍軍人であり政治家としても知られています。彼は最終階級が陸軍大将であり、正二位勲一等功四級という位階を持っています。大正末期から昭和初期にかけて、長州出身者に代わって陸軍の実権を握り、宇垣閥と呼ばれる勢力を築き上げました。また、陸軍大臣として宇垣軍縮を実施したことで知られています。

早年の経歴

宇垣は、1868年に備前国磐梨郡大内村（現・岡山県）で生まれ、5人兄弟の末っ子として育ちました。幼名は杢次であり、若いころから教育分野で活動し、小学校校長を経て上京しました。陸軍への進路を選び、陸軍士官学校を第1期として卒業します。卒業後は、徐々に昇進しながら当時の陸軍の中堅となっていきました。

陸軍大臣としての役割

宇垣は大正13年に陸軍大臣に任命され、目立つ役割を果たしました。その後の加藤高明内閣でも同じ大臣職を保持し、宇垣軍縮政策を推進しました。この政策は軍事予算の削減が目的でしたが、結果的には新たな装備の導入に繋がりました。陸軍の近代化を図る一方、多くの将校が退役するなど、部内からの反発も招きました。昭和2年までこの職を務め、陸軍大将への昇進も果たしました。

朝鮮総督としての活動

昭和2年に朝鮮総督に任命され、内鮮融和政策を推進しました。農村振興と工業発展を目指しましたが、実効性には乏しいものでした。この間、彼の統治は、後に歴代総督から高評価を得た一方で、農村政策は南次郎によって引き継がれることなく終了しました。宇垣は、朝鮮に対する日本の影響力を拡大しようとしましたが、結果としては限られた成功に留まりました。

政治的挫折

1937年、宇垣は廣田内閣の総辞職後、再び首相候補として名前が挙がりました。しかし、陸軍の反対に直面し、実際に組閣には至りませんでした。この間、彼は内閣における軍部の影響力を軽減しようと試みましたが、宇垣の力を恐れた軍部の中堅が彼の動きを阻止する方法を講じました。日本が国際的に孤立していく中で、宇垣の政治的な運は厳しいものでした。

戦後の活動

太平洋戦争終結後、宇垣は公職追放となりましたが、1952年には追放が解除されました。その後、参議院に立候補し、見事当選を果たしました。しかし、健康の影響で議員活動は長く続かなかったものの、彼が参議院議員として活動していたことは、日本政治史において重要な章の一つとなっています。

評価と逸話

宇垣は、その生涯を通じて多くの称賛と批判を受ける人物であり、彼の自己評価は非常に高かったとされます。彼の行動や言葉は、時として周囲に誤解を与えることがあり、特に昭和天皇からは厳しく評価されていました。宇垣は、「政界の惑星」と形容されることが多く、決して首相には至らなかったものの、彼自身の影響力は大きなものでした。彼の生涯は、日本の軍国主義の時代の一環として捉えることができ、多くの関心を集めています。

もう一度検索