牛海綿状脳症対策特別措置法

牛海綿状脳症対策特別措置法について

牛海綿状脳症対策特別措置法（以下、BSE対策特別措置法）は、狂牛病とも呼ばれる牛海綿状脳症（BSE）の発生を予防し、そのまん延を防止するための特別な措置を定めた法律です。この法律は、安全な牛肉を安定的に供給するための体制を確立し、国民の健康保護を最優先とするとともに、肉用牛生産、酪農、牛肉の製造・加工・流通・販売に関わる事業、飲食店などの健全な発展を促進することを目的としています。

法律の構成

BSE対策特別措置法は、以下の主要な条項で構成されています。

第1条（目的）: この法律の目的を明示しています。BSEの予防と蔓延防止、安全な牛肉の安定供給、国民の健康保護、関連産業の発展が主な目的です。
第2条（定義）: この法律で使用する用語の定義を規定しています。これにより、法律の解釈における混乱を防ぎ、正確な運用を保証します。
第3条（国及び都道府県の責務）: 国と都道府県がBSE対策において果たすべき責務を定めています。これにより、国と地方自治体が連携し、効果的な対策を実施するための基盤を形成します。
第4条（基本計画）: BSE対策に関する基本計画の策定について規定しています。この計画に基づき、具体的な対策が実施されます。
第5条（牛の肉骨粉を原料等とする飼料の使用の禁止等）: BSEの原因の一つとされる肉骨粉を原料とする飼料の使用を禁止し、感染リスクを低減させるための措置を規定しています。
第6条（死亡した牛の届出及び検査）: 死亡した牛に関する届出義務やBSE検査の実施を義務付けています。これにより、感染の早期発見と迅速な対応を可能にします。
第7条（と畜場における牛海綿状脳症に係る検査等）: と畜場におけるBSE検査の実施に関する規定です。これにより、食用に供される牛の安全性を確保します。
第8条（牛に関する情報の記録等）: 牛の生産履歴や個体識別などの情報を記録し、管理することを義務付けています。これにより、問題発生時の追跡調査を容易にします。
第9条（牛の生産者等の経営の安定のための措置）: BSE問題で影響を受けた牛の生産者などの経営を安定させるための支援策について規定しています。
第10条（協力依頼）: BSE対策に必要な協力を関係機関や事業者に依頼できることを定めています。
第11条（正しい知識の普及等）: BSEに関する正しい知識を普及させ、消費者の不安を解消するための措置について定めています。
第12条（調査研究体制の整備等）: BSEに関する調査研究体制を整備し、科学的知見に基づいた対策を推進することを規定しています。

制定の経緯

BSE対策特別措置法は、日本国内でBSEが初めて確認されたことを契機に制定されました。

2001年9月: 日本国内でBSEの第1例が確認されました。この発見は、社会に大きな衝撃を与え、牛肉の安全性に対する国民の不安を高めました。
2002年6月4日: 第154回国会において、衆議院で法案が可決されました。
2002年6月7日: 参議院でも法案が可決され、成立しました。
2002年6月14日: 法律が公布され、施行されました。

関連法規

この法律は、以下の関連法規と密接に関連しています。

牛肉トレーサビリティ法: 牛肉の生産から消費までの追跡を可能にする法律であり、BSE対策と合わせて牛肉の安全性を高めるために重要な役割を果たします。

その他の情報

この法律は、特別措置法、または時限立法と呼ばれる種類の法律です。これは、特定の目的のために、一定期間に限って適用される法律であることを意味します。
外部リンク: 詳しい情報については、以下の外部リンクを参照ください。
牛海綿状脳症対策特別措置法 - e-Gov法令検索
* 牛海綿状脳症対策特別措置法施行規則 - e-Gov法令検索

BSE対策特別措置法は、BSEの発生予防、蔓延防止、そして安全な牛肉を国民に安定的に供給するための重要な法律です。この法律の制定と実施により、日本の食の安全性が向上し、関連産業の健全な発展が促進されることが期待されます。

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