牧嗣人

牧嗣人（まき つぐんど）は、1903年6月2日に大分県で生まれた日本のバス歌手、そして俳優です。その波瀾万丈な人生は、音楽と映画の世界を舞台に繰り広げられました。

若き日の音楽への情熱

牧は、大阪で関西学院大学神学部に進学しますが、音楽への情熱を抑えきれず中退。外山国彦に師事し、その後、東京高等音楽学院（現在の国立音楽大学）で本格的に音楽を学びました。卒業後も山田耕筰に師事し、音楽家としての才能を磨きました。

フランスでの俳優としての挑戦

1930年代初頭、牧はフランスに渡り、俳優へと転身します。マルセル・レルビエ、クリスチャン＝ジャック、そしてロバート・シオドマクといった著名な監督たちの作品に出演し、その国際的な舞台で活躍しました。特に、フランス映画『Macao, l'enfer du jeu』やドイツ映画での演技は、彼の存在感を際立たせました。

戦争と帰国、そして新たな舞台へ

1940年、牧は日本に帰国し、東宝映画に2作品出演します。これらの作品では、彼の音楽的な才能を生かし、歌う役を演じました。1945年、42歳で終戦を迎えた牧は、1950年代に入ると、再び映画の世界で活動を始めます。フランス時代と同様に、歌手とは異なる役柄にも挑戦し、その多才ぶりを発揮しました。また、この時期にはテレビコマーシャルにも出演し、不二家の『不二家パラソルチョコレート』のCMソングを歌うなど、その歌声は多くの人々に親しまれました。テレビ映画にも出演し、幅広い活躍を見せました。

その他の活動と晩年

牧は、映画だけでなく、テレビドラマにも出演し、その演技力は多方面で評価されました。1962年にはアメリカ映画『青い目の蝶々さん』にも出演するなど、国際的な活躍を続けました。

1987年1月13日、牧嗣人は83歳でその生涯を閉じました。彼の音楽と映画への情熱は、多くの人々に感動を与え、その足跡は今もなお、私たちの心に残っています。

主な出演作品

La fusée (1933年、フランス)
フロウ氏の犯罪 (1936年、フランス)
流血船エルシノア (1936年、フランス)
美しき青春 (1936年、フランス)
背信 (1937年、フランス)
列車怪盗事件 (1938年、フランス)
親子鯨 (1940年、日本)
指導物語 (1941年、日本)
マカオ (1942年、フランス)
幸福の25歳 (1943年、フランス)
遙かなり母の国 (1950年、日本)
女次郎長ワクワク道中 (1951年、日本)
脱線三銃士 (1958年、日本)
再会 (1958年、テレビドラマ)
変わらぬものは変わらない (1960年、テレビドラマ)
女は探がせ (1960年、テレビドラマ)
青い目の蝶々さん (1962年、アメリカ)
黒薔薇昇天 (1975年、日本)
* 破れ新九郎 (1978年、テレビドラマ)


これらの作品は、牧嗣人の多彩な才能と、その生涯における輝かしい足跡を物語っています。

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