マルセル・レルビエ

マルセル・レルビエは、1890年4月23日にパリで生まれ、1979年11月26日に同地で亡くなった、フランスを代表する映画監督、脚本家、プロデューサーです。彼は、レジオンドヌール勲章を受章し、高等映画学院（IDHEC）の創設者であり初代校長を務めました。

初期

リセ・ヴォルテールを経てパリ大学を卒業したレルビエは、当初は著述家として活動していました。戯曲、詩、随筆などを執筆していましたが、映画というメディアに強い興味を抱くようになりました。第一次世界大戦中には、フランス軍の映画局に配属され、そこでフィルムの持つ力と可能性を実感しました。

キャリア

1918年、レルビエは初の長編映画『Rose-France』を監督し、映画監督としてのキャリアをスタートさせました。1919年から1922年にかけては、ゴーモン社の「セリ・パックス」シリーズで、『海の人』（1920年）や『エルドラドオ』（1922年）などの作品を制作し、高い評価を得ました。1922年には、自身の製作会社「シネグラフィック」を設立し、翌年には『Résurrection』や『人でなしの女』を製作・監督しました。これらの作品によって、レルビエはフランス前衛映画のリーダーとしての地位を確立しました。

アベル・ガンス監督の『ナポレオン』に触発されたレルビエは、1928年にエミール・ゾラの小説『金』を現代風に翻案した大作『金』を監督しました。この作品には、ブリギッテ・ヘルム、マリー・グローリー、イヴェット・ギルベールといったスターが出演しました。レルビエと「シネグラフィック」社は、アルベルト・カヴァルカンティやクロード・オータン＝ララなど、多くの映画作家に影響を与え、彼らの活動を支援しました。

1930年には、初のトーキー作品『L'Enfant de l'amour』を監督しましたが、この作品はあまり評価されませんでした。しかし、この作品をきっかけに、レルビエはよりメインストリームの映画作家へと移行しました。1937年には、映画技術者組合CGTを共同で設立し、書記局長、後に代表となりました。1943年には、映画界への最大の貢献となる高等映画学院（IDHEC）を設立しました。フランス政府の財政援助を受け、この学校は映画製作、映画史、映画理論、映画批評など、映画に関するあらゆる技術を教えました。

高等映画学院は、ルイ・マル、アラン・レネ、フォルカー・シュレンドルフ、ジャン＝ジャック・アノー、クロード・ソーテ、ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス、パトリス・ルコント、コスタ＝ガヴラスなど、数多くの著名な映画監督を輩出しました。レルビエは、25年間校長を務め、学校の発展に尽力しました。1986年、同校は「欧州映像音響職業財団（Fondation européenne pour les métiers de l'image et du son）」となり、「ラ・フェミス（La Fémis）」として知られるようになりました。

後年のキャリア

1952年から1962年にかけて、レルビエはテレビ制作に転身し、フランスのテレビ向けの文化番組の先駆者となりました。また、ルクセンブルクやスイスのテレビでも活躍しました。彼は、新聞への執筆活動も続け、1953年には『ル・モンド』紙の映画欄の創設に貢献しました。1978年には、回顧録『La tête qui tourne』を出版しました。

1979年11月26日、レルビエはパリで亡くなりました。享年89歳でした。

関連事項

スタニスラス高等学校（Collège Stanislas de Paris）
マリー・グローリー（Marie Glory）
イヴェット・ギルベール（Yvette Guilbert）
アルベルト・カヴァルカンティ（Alberto Cavalcanti）
ジョルジェット・ルブラン（Georgette Leblanc）：『人でなしの女』に主演。彼女の兄モーリス・ルブランとも親交がありました。

外部リンク

マルセル・レルビエ - IMDb（英語）

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