牧志公設市場

牧志公設市場

牧志公設市場は、沖縄県那覇市にある公設市場です。戦後の混乱期に自然発生的に生まれた闇市が起源で、市民の生活を支える「台所」として発展してきました。長年にわたり、市民や観光客に親しまれてきましたが、老朽化のため建て替え工事が行われ、2023年3月19日に新市場が開業しました。

施設

新市場は、国際通りから市場本通りを約150メートル入った場所に位置する3階建ての建物です。3方が歩行者専用道路に接しており、どの通りからもアクセスしやすい設計となっています。各階には以下の施設があります。

3階: 管理事務所、多目的スペース
2階: 食堂、イベントスペース。1階で購入した食材を調理してもらう「持ち上げ」システムが利用可能。
1階: 精肉、鮮魚、生鮮食品などの店舗

市場内は回遊性が高く、通り抜けも可能です。また、1970年代から80年代にかけて設置されていたアーケードが、2024年に再整備される予定です。

歴史

牧志公設市場の歴史は、戦後の闇市に遡ります。那覇市では、1918年頃に各地の市場が旭橋付近の東町に統合されましたが、第二次世界大戦後、開南バス停付近に自然発生的に闇市が形成されました。この闇市は、川沿いだけでなく川の上にも水上店舗が立ち並ぶ状態でしたが、大雨による洪水や衛生面での問題が深刻化していました。そのため、那覇市は公的管理が及ぶ公設市場の必要性を認め、1951年に牧志公設市場を開設しました。

その後、市場の用地問題や施設の老朽化などの課題がありましたが、2023年に新市場が完成し、新たな歴史を刻んでいます。

旧市場と第二牧志公設市場

1960年代には、市場の用地が元々私有地だったため、地主から返還要求があり、市場存続問題が発生しました。那覇市は一度は市場の移転と用地明け渡しを決定し、近くに移転先を確保しましたが、市場の業者たちがこの移転先について「人通りが少ない裏路地では商売にならない」と反対運動を起こしたため、交渉は難航しました。最終的に、那覇市は1969年に移転予定地に第二牧志公設市場を開設しましたが、業者の移転は進まず、旧市場は第一牧志公設市場として存続することとなりました。

その後、1972年には第一牧志公設市場が現在の建物に建て替えられました。両市場は、戦後の沖縄を支える「市民の台所」として重要な役割を果たしましたが、本土復帰を境に大手資本の百貨店やスーパーマーケットが進出し、徐々に客足が減少していきました。2001年には第二牧志公設市場が閉鎖されています。

建て替えと現在

第一牧志公設市場も老朽化が著しく、2006年度の耐力度測定調査で建て替え時期にあるという結果が出ました。那覇市は「現位置建替え案 仮店舗リース方式」を採用し、2019年6月16日に旧市場での営業を終了しました。その後、近隣の「にぎわい広場」に仮設市場を設置し、再整備事業期間中は市場機能を移転しました。

新市場は2023年3月19日に開業し、現在に至ります。

沿革

1950年: 牧志公設市場として開設。
1969年: 第二牧志公設市場が開設。それに伴い、牧志公設市場が第一牧志公設市場に改名。
2001年: 第二牧志公設市場が閉鎖。
2019年: 第一牧志公設市場が旧第二牧志公設市場跡地に設置された仮設市場に移転。
2022年2月28日: 牧志公設市場雑貨部・衣料部が閉場。
2023年3月19日: 第一牧志公設市場が元の場所に新築移転。

所在地

沖縄県那覇市松尾2-10-1

交通

モノレール

沖縄都市モノレール線の牧志駅、美栄橋駅、県庁前駅より徒歩。
公式に最寄りとされている駅は美栄橋駅です。

路線バス

てんぶす前バス停（市内線専用）、牧志バス停（市外線専用）より徒歩。

自動車

市場に付帯する駐車場はありませんが、周辺にコインパーキングがあります。

閉鎖された市場

第二牧志公設市場

所在地: 沖縄県那覇市松尾2丁目
開設: 1969年
閉鎖: 2001年
跡地は「那覇市中心商店街にぎわい広場」として整備

牧志公設市場雑貨部・衣料部

所在地: 沖縄県那覇市牧志3丁目3-4
開設: 1951年
改築: 1982年
閉場: 2022年
雑貨部跡にはメキシコ料理店などが、衣料部跡にはフードホールがオープン予定

もう一度検索