牧野佐二郎

牧野佐二郎の略歴と業績

牧野佐二郎（まきの さじろう、1906年6月21日 - 1989年8月6日）は、日本の細胞遺伝学において顕著な業績を残した学者です。彼は千葉県成田市で生まれ、1930年に北海道帝国大学の農学部で染色体学科を卒業しました。その後、1940年には「ハツカネズミ属の細胞学的研究」に対して理学博士の学位を取得しました。1947年には北海道大学の教授に就任し、山階鳥類研究所や国立遺伝学研究所でも研究を行いながら、1969年には理学部附属動物染色体研究施設の長となりました。1970年には退官し、名誉教授の称号を得ました。

彼の研究は特に染色体に関するものであり、新たな顕微鏡観察法を開発しました。この手法により、ヒトや動物の染色体をより精密に解析できるようになり、特にがん細胞の遺伝学的研究にも貢献しました。その成果は、彼の門下生である吉田俊秀など、多くの学生や後進に引き継がれています。

地域の学界でも高く評価され、1973年には日本学士院の会員となり、さらに1983年にはインド科学アカデミーの外国会員に選出されました。

受賞歴

牧野はその多くの研究成果に対して、数々の賞を受賞しています。1944年には日本遺伝学会賞、1953年には北海道新聞文化賞、1954年には日本動物学会賞、1958年には日本学士院賞を受賞しました。また、1961年には東レ科学技術賞を受賞し、1967年には日本人類遺伝学会賞を得ました。1975年には、「Human chromosomes」に対し日本翻訳文化賞を受賞し、1976年には勲二等瑞宝章と日本医師会最高優功賞も獲得しました。加えて、同年には高松宮妃癌研究基金学術賞も受賞しました。

主な著作

牧野佐二郎の著作は非常に多岐に亘り、いくつかの重要な著作を以下に紹介します。1948年には『性の決定と性染色体 脊椎動物篇』を出版し、同年に『動物の染色体』や『哺乳動物の卵子』に関する研究も発表しました。また、1950年には『動物染色体数綜覧』、1954年には『生物学実験法講座』の第1巻を著しました。1963年には一般向けの書籍『人類の染色体 臨床医学への応用』を出版し、1975年には英語での論文集『Human chromosomes』を発表しました。さらに、1979年には『染色体 人類の細胞遺伝』を刊行し、多くの研究者に影響を与えました。

共編著

牧野はまた、共編著としても数多くの書籍があります。1949年から1952年にかけて『細胞学遺伝学論文集』を編纂し、1955年に田中達也と共著の『生物学実験法講座 第8巻 E 動物組織学実験法』を出版しました。加えて、1959年には『初等・中等生物教育講座 第2巻 生物の構造』を共同で執筆し、1982年には『放射線・化学物質と染色体異常』を編集しました。

結論

牧野佐二郎は日本の細胞遺伝学の発展に大きな影響を与えた勉学者であり、その研究は今日の医学や生物学においても重要な基礎となっています。彼の業績は、細胞遺伝学分野の発展を促し、多くの研究者にその道を示すものとなりました。

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