牧野宗則

牧野宗則の木版画の世界

牧野 宗則（まきの むねのり、1940年2月11日生まれ）は、日本の木版画作家であり、特に浮世絵木版画の技術に秀でた存在として知られています。静岡県静岡市出身の彼は、自然の生命の美しさを優雅に表現することに情熱を注ぎ、数深い精神性を持った自身の作品を生み出しています。彼の作品には、木版画の伝統技術を現代に受け継ぐ重要な役割があり、次女である風鈴丸もまた、木版画家としてその道を歩んでいます。

初期の影響と学び

1940年に静岡市で生まれた牧野は、1955年頃から彫刻家の大村政夫の指導を受け始めます。この時期に、彼は伝統的な浮世絵木版画に深い関心を寄せ、東京や京都の木版画摺師を訪ねることで制作現場を体験しました。1958年には静岡県立静岡高等学校を卒業し、卒業記念作品として『木版画集』を発行して自らの技術を試すとともに、伝統技法を学び続けました。

版画家としての確立

1975年、牧野は木版画制作に全てを捧げる決意をし、プロの版画家としての道を踏み出します。個展を全国各地で開催しつつ、1981年には越前和紙の紙漉師・岩野治夫と出会い、独自の手漉和紙作りを始めるなど、自身の作品に必要な素材に積極的に関与しました。1983年からのフィナール国際美術展や日仏現代美術展への出品は、彼の作品が国際的にも評価される契機となりました。

作品と展覧会

1986年には、技法講座を静岡県立美術館で開催し、自らの技術を他者に伝える努力を惜しみませんでした。1992年に開催した個展「北斎・広重からの華麗なる展開」では、後の世代にも影響を与える木版画の重要性を広め、多くの観客を惹きつけました。その後も、静岡新聞社創刊50周年記念や日本生命創業100周年記念など、数々の記念展覧会に参加しています。

賞と評価

彼の木版画は国内外で数多くの展覧会を経て高い評価を得ており、1994年には静岡県文化奨励賞を受賞しました。また、作品を次世代に残すために約300枚の版木を焼却し、制作プロセスへの徹底した姿勢を貫くと共に、2003年には文化庁長官表彰も受けました。さらに、2000年には静岡新聞社創刊60周年、SBS静岡放送開局50周年の際に作品を発表し、地域への貢献も重視しています。

アートの多様性

牧野は、数十年にわたって活動を続け、近年ではブロックス・アートと呼ばれる手法を開発し、版木そのものを作品の一部とする新しい表現を追求しています。2007年には「伝統版画300年の奇蹟」展を開催し、若い世代に伝統技術の魅力を伝える取り組みも行っています。

家族とミッション

牧野の活動は、彼の次女である風鈴丸とのコラボレーションによっても新たな色合いを加え、家族での共同展も積極的に開催しています。2021年、コロナ禍においても次女との二人展を銀座で実施し、作品を通じて地域や国際的な交流を大切にする姿勢を見せました。アートを通じて自然の美を伝えることが、彼の生涯にわたる使命であると言えるでしょう。

もう一度検索