特別行動センター(Special Activities Center: SAC)
特別行動センター(SAC)は、アメリカの
中央情報局(CIA)において、秘密の軍事作戦や特殊な行動を専門とする
準軍事組織です。この組織は、CIAからの秘匿された任務や特殊作戦の実施を責任を持って行い、特に政治的な工作を行う政策活動グループ(PAG)および破壊的な軍事行動に従事する特殊作戦グループ(SOG)に分かれています。
特殊作戦グループ(SOG)
特殊作戦グループ(SOG)は、米国政府が公に関与することを避けたい作戦を担当しており、破壊工作や特殊偵察、人質救出など多彩な任務に従事します。具体的には、無人機(
MQ-9 リーパー)を使用した監視や攻撃、敵対勢力への偽装なども含まれます。
SOGの隊員は主に米軍
特殊部隊の出身者で構成されていますが、指揮官はCIAの正規職員が配置され、4つの専門部門に分かれています。これらは、地上部門(Ground Branch)、海上部門(Maritime Branch)、航空支援部門(Air Branch)、装備と特別プログラム部門(Armor and Special Programs Branch)です。これらの部門は、人材の訓練や装備の調達を行い、米軍とは異なる秘密のルートで必要な物資を調達する責任を担っています。特に、隊員が捕縛された場合に政府との関連を隠すため、特殊な防護策が講じられています。
政策行動グループ(PAG)
政策活動グループ(PAG)は、外国の政情や世論に影響を及ぼすことを目的とし、
心理戦や経済的な圧力を利用します。このグループは、「ブラックプロパガンダ」などと呼ばれる手法を用いて、選挙やデモの背後での影響を行い、アメリカ合衆国の国益に資する政治的変動を促すことを目指しています。
参加資格
特別行動センターでの任務に参加するためには、最低でも8年の軍務経験や特殊作戦の実務経験、戦闘指導の経験などが求められ、特に外国語や文化に関する知識も重要です。これらの厳しいハードルをクリアした精鋭が、特定の任務に従事することになります。
主な関与が疑われる事案
SACが関与しているとされる主な事例には、
キューバのピッグス湾事件、ベトナム戦争関連のMACV-SOGおよびフェニックス計画、エルサルバドル内戦、アフガニスタンにおけるソ連軍への対抗、そして2001年のアフガニスタン北部でのNALT作戦などがあります。これらの活動は、国が公に関与することなく進められ多くの成果を上げています。
著名な人物
特別行動センターに関与した著名な人物として、Johnny Michael Mike Spannが挙げられます。彼はCIAに入局し、アフガニスタンでの任務中に戦死し、後にインテリジェンススターを受賞しました。彼の故郷のハイウェイにその名が冠されています。
特別行動センターは、現代の国際的な軍事戦略において極めて重要な役割を果たしており、その秘密主義と専門的な能力が、国益のための隠れた武器となっています。