特四式内火艇

特四式内火艇 カツ

特四式内火艇 カツは、大日本帝国海軍が1944年に制式採用した水陸両用装軌車です。この車両は、主に上陸作戦を支援する目的で設計されました。

設計と性能

特四式内火艇は、堀元美技術少佐によって呉海軍工廠造船実験部で開発されました。その背景には、南方の孤島への物資輸送の必要性がありました。特四式は、潜水艦に搭載され、海中を自力で航行し、上陸可能な構造を持っています。

この内火艇は、4トンの貨物を運搬できる能力を持ちながら、車体には浮力を確保する設計が施されています。特に、既存の特型内火艇とは異なり、着脱式の舟形フロートは必要ありませんでした。こうした設計のため、攻撃兵器への転用も可能です。

また、この艇は二挺の九三式十三粍機銃を装備しており、魚雷や噴進砲を搭載する改造型も存在しました。

作戦の発想と運用

特四式内火艇の基本的な運用方法は、夜間に潜水艦から発進し、朝が明ける前に上陸、隠れるというものでした。この奇襲戦術は、ガ島撤退後に考案されたもので、当時の軍令部からの強い支持を受けました。しかし、この戦術には多くの問題がつきまといました。たとえば、潜水艦からの発進には20分程度の準備が必要であり、敵のレーダーに発見される危険が高まります。

また、実際にはエンジンの始動に問題が生じる可能性や、海中輸送中の油漏れが敵に位置を知られる原因になる懸念もありました。こうした背景から、潜水艦の長からは作戦の実行に反対意見が出ることも少なくありませんでした。

歴史的背景

この内火艇の設計は、最初の実戦経験に基づいて行われました。ガ島の戦訓を取り入れて開発されたため、実際の戦場でどのように使用されるかという問題意識が強くありました。海軍内での評判は分かれましたが、公式に試作計画が進められました。

1930年代の終わりや1940年代に進むと、連合軍の反攻が始まり、特四式内火艇はその運用を試みられました。具体的には、マーシャル諸島上陸のための「竜巻作戦」が計画された時期もありました。

陸上車両としての現在

特四式内火艇は、最終的に50輛近くが生産されたとされ、そのいくつかは戦後に連合国軍によって引き渡されました。現在、唯一現存する車両は、アメリカのカリフォルニア州にあるバーストー米海兵隊補給廠に展示されています。

模型と評価

様々な模型メーカーが特四式内火艇に関連したアイテムを製作しています。具体的なモデルやキットは、当時の歴史的背景を理解するための手助けとなっています。また、これらのモデルは、特四式内火艇の複雑な設計や運用戦略を視覚的に学ぶ手掛かりにもなります。

特四式内火艇は、太平洋戦争における日本海軍の構想の一端を示す重要な兵器であり、その性能や運用方法は戦術上の課題を物語っています。

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