特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法

特定産業廃棄物に関連した問題を解決するために制定された特別措置法は、平成15年（2003年）に施行されました。この法律は、平成9年の廃棄物処理法改正以前に不法投棄された産業廃棄物に対処するための特別な枠組みを規定しています。具体的には、都道府県が不法投棄された廃棄物に関する除去対策を実行する際に、国からの補助金や地方債の起債特例などにより財政的支援を受けられるようにしています。

法律の期限は、当初2003年度から10年間の時限立法でしたが、2012年の改正により、2023年3月31日まで延長されました。法改正法施行以降に行われた不適正処分については、原状回復基金が設定され、これに基づいて都道府県や保健所設置市が支援を行う仕組みになります。

目的

まず、この法律の第一条には、特定産業廃棄物に起因する様々な支障を計画的に除去することを目的としており、環境大臣が定める基本方針に基づいて、国民の健康や生活環境を守るための措置を講じることが謳われています。

制定の背景

この法律の制定は、「豊島不法投棄事案」や「青森・岩手県境産廃不法投棄事案」といった深刻な不法投棄問題への早急な対策が求められたことが背景にあります。これらの事件は、多くの環境問題や住民の健康被害を引き起こしており、適切な対応が強く求められました。

法律の概要

特別措置法には、以下のような重要な項目が定められています。

- 基本方針: 環境大臣は、特定産業廃棄物による支障を除去するための基本方針を定め、その推進を図ります。
- 実施計画: 都道府県は、基本方針に基づいて、自区域内での支障除去の実施計画を策定できます。
- 国庫補助と地方債特例: 不適正処分に対する支障除去を行う際、国からの補助金を受けたり、地方債を利用して必要な経費を捻出したりできます。

この法律は、このようにして、不法投棄の影響を受けた地域の環境を守り、国民の健康を保護するために重要な役割を果たしています。

対策計画

不適正処分の実行者に責任を追及しつつ、具体的に支障の内容を把握し、適切に対策を講じることが計画されています。具体的には不法投棄された廃棄物の実態調査を行い、有害廃棄物が含まれるかどうかの把握を行った後、必要に応じて措置命令を出します。その結果、必要な除去計画が策定され、都道府県等が支障除去を実施することになります。

調査方法には、廃棄物投棄現場をメッシュ状に分割し、ボーリング調査でそれぞれの区画の廃棄物の性状を確認することが含まれます。また、有害廃棄物が含まれる場合には、その処理に対して国庫補助の対象となり、支障除去の早期実施が期待されています。

法の適用事例

この特別措置法のもと、数多くの不法投棄事案において国は適正処理推進センターを通じて財政支援を行ってきました。具体的な事例としては、香川県の豊島不法投棄や青森県と岩手県境の産廃不法投棄事件などがあり、そこでは国からの資金援助が行われて、支障除去が進められています。

この特別措置法によって、不法投棄が企業や地域に及ぼす影響を軽減し、環境の保護に貢献することが期待されています。

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