特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律

特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律（特定非常災害特別措置法）

概要

特定非常災害特別措置法は、大規模な災害が発生した際に、被災者の権利や利益を保護するための特別な措置を定めた日本の法律です。この法律は、1996年（平成8年）に制定され、法令番号は平成8年法律第85号です。この法律の目的は、災害によって生じる様々な困難に対して、被災者が迅速に日常生活を再建できるよう支援することにあります。

制定の背景

この法律が制定された背景には、1995年に発生した阪神・淡路大震災があります。この大震災では、行政手続きの期限切れや、債務超過による破産など、多くの問題が発生しました。これらの問題に対処するため、行政上の権利利益の満了日延長などの特別措置が講じられました。この経験を踏まえ、将来の大規模災害発生時にも迅速に対応できるよう、制度として確立されたのが特定非常災害特別措置法です。

特定非常災害の指定

この法律では、著しく異常かつ激甚な災害が発生した場合に、その災害を「特定非常災害」として政令で指定します。政令では、災害が発生した日を「特定非常災害発生日」として定める必要があります。特定非常災害に指定されると、以下のような様々な特別措置が適用されます。

主な措置

• - 行政上の権利利益に係る満了日の延長（第3条）: 行政手続きの期限が延長され、被災者は期限切れを気にすることなく手続きを進めることができます。
• - 期限内に履行されなかった義務に係る免責（第4条）: 災害の影響で義務を履行できなかった場合、その責任が免除される場合があります。
• - 債務超過を理由とする法人の破産手続開始の決定の特例（第5条）: 災害によって債務超過に陥った法人の破産手続きを円滑に進めるための特例措置が設けられています。
• - 民事調停法による調停の申立ての手数料の特例（第6条）: 民事調停の申し立て手数料が減免されます。
• - 建築基準法による応急仮設住宅の存続期間の特例（第7条）: 応急仮設住宅の入居期間が延長されます。
• - 景観法による応急仮設住宅の存続期間の特例（第8条）: 景観法に基づく応急仮設住宅の存続期間も延長されます。

これらの措置は、被災者の生活再建を支援し、災害による社会的な混乱を最小限に抑えることを目的としています。

適用された災害

これまでに、以下の災害が特定非常災害に指定され、本法律が適用されています。

1. 阪神・淡路大震災（平成8年政令第352号）
2. 平成十六年新潟県中越地震（平成16年政令第355号）
3. 東日本大震災（平成23年政令第19号）
4. 平成二十八年熊本地震（平成28年政令第213号）
5. 平成三十年七月豪雨（平成30年政令第211号）
6. 令和元年台風第十九号（令和元年政令第129号）
7. 令和二年七月豪雨（令和2年政令第223号）
8. 令和六年能登半島地震（令和6年政令第5号）

これらの災害では、本法律に基づく様々な特別措置が講じられ、被災者の生活再建が支援されました。特に、地震による災害が指定されるケースが多いですが、近年では豪雨災害も指定されるようになっています。

法律の構成

特定非常災害特別措置法は、以下の条文で構成されています。

• - 第1条（趣旨）
• - 第2条（特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定）
• - 第3条（行政上の権利利益に係る満了日の延長に関する措置）
• - 第4条（期限内に履行されなかった義務に係る免責に関する措置）
• - 第5条（債務超過を理由とする法人の破産手続開始の決定の特例に関する措置）
• - 第6条（相続の承認又は放棄をすべき期間の特例に関する措置）
• - 第7条（民事調停法による調停の申立ての手数料の特例に関する措置）
• - 第8条（建築基準法による応急仮設住宅の存続期間の特例に関する措置）
• - 第9条（景観法による応急仮設住宅の存続期間の特例に関する措置）

まとめ

特定非常災害特別措置法は、大規模災害発生時に被災者の権利や利益を保護し、生活再建を支援するための重要な法律です。この法律によって、被災者は、行政手続きの期限延長や債務免責など、様々な支援を受けることができ、災害からの迅速な復旧・復興につながることが期待されます。

外部リンク

• - 特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律：防災情報のページ - 内閣府

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