特捜隊アダム12

「特捜隊アダム12」（原題: "Adam-12"）は、1968年から1975年にかけてアメリカのNBCで放送されたテレビドラマです。日本では、1970年から1972年にフジテレビ系列で放送されました。

このドラマのタイトルにある「アダム」とは、パトロールカーのコードネームであり、「12」は管轄地域の番号を指します。日本語版では「特捜隊」と訳されていますが、実際には主人公であるピート・マロイとジム・リードは、パトカーで管轄地域を巡回するパトロール警官です。彼らが職務中に遭遇する日常的な事件を中心に、物語は展開されます。

制作総指揮を務めたのは、リアリティを追求した警察ドラマ「ドラグネット」で知られるジャック・ウェッブです。本作もまた、ロサンゼルス市警察（LAPD）の事件記録を基にしており、ドラマのエンディングでは、事件が実際に起こったものであること、ただし登場人物の名前は仮名であることがクレジットされています。

「アダム12」は、それまでの警察ドラマのパターンを大きく覆し、ヒーロー的な活躍をする警官ではなく、人間としての警官の日常をリアルに描くことに重点を置きました。そのため、ドラマチックな展開はほとんどなく、二人の警官が日々遭遇する事件が淡々と描写されます。警官の日常業務や悩み、そして事件を通して浮き彫りになるアメリカ社会の抱える問題などが赤裸々に描かれ、当時の視聴者に大きな衝撃を与えました。この作品は、後のアメリカの警察ドラマの主流となるリアリスティックドラマの先駆けとして、テレビドラマ史における重要な作品とされています。

この成功の背景には、プロデューサーであるジャック・ウェッブのリアリティへの徹底的なこだわりがありました。制作にはLAPDが全面的に協力しており、ドラマに登場するエピソードは、多少の脚色はあるものの、すべてロサンゼルス市で実際に起こった事件に基づいています。また、警官の所作（手錠をかける、容疑者に権利を読み上げる、パトカーのドアロックなど）は当時のLAPDの規定に忠実に再現され、実際に警察学校の教則ビデオとしても使用されました。さらに、ドラマ内で無線音声を担当したシャロン・クラリッジは、LAPDの現役のディスパッチャーでした。

ドラマのもう一つの主役とも言えるパトカー「アダム12(012号車)」は、時代に合わせて以下のように車種が変更されています。

1967年式プリムス・ベルベディア - パイロット版
1968年式プリムス・ベルベディア - シーズン1
1969年式プリムス・ベルベディア - シーズン2～3
1971年式プリムス・サテライト - シーズン4
1972年式AMC・マタドール - シーズン5～7


あらすじ

ロサンゼルス市警察のパトロール警官ピート・マロイは、相棒の殉職に深く悩み、辞職を考えていました。そんな中、彼は新人警官のジム・リードとペアを組むように命じられます。ジムのひたむきな姿勢に、かつての自分を重ねたピートは、警官を続けることを決意します。

キャスト

ピート・マロイ：マーティン・ミルナー（日本語吹替：青野武）
ジム・リード：ケント・マッコード（日本語吹替：田中信夫）
マクドナルド主任：ウィリアム・ボエット
無線の声：シャロン・クラリッジ（日本語吹替：来宮良子）

スタッフ

制作総指揮：ジャック・ウェッブ

日本でのネット局

フジテレビ：日曜 10:30 - 11:00
北陸放送：月曜 18:00 - 18:30 （石川テレビでは放送なし）

外部リンク

The Official Kent McCord Archives: Adam-12
Adam-12 - IMDb

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