特殊任務巡回警察

特殊任務巡回警察について

特殊任務巡回警察（ウクライナ語: Патрульна служба поліції особливого призначення）は、ウクライナ内務省に所属する義勇警察部隊です。2014年に勃発した親ロシア派による騒乱を背景に、犯罪の防止と市民秩序の維持を目的に設立されました。現在も続くドンバス戦争では、準軍事部隊として、ウクライナ軍、ウクライナ国家親衛隊、ウクライナ保安庁などと共に、親ロシアの分離主義勢力と戦っています。

歴史

2014年4月、当時の内務大臣代行であったアルセン・アヴァコフ氏が、特殊民警大隊の創設を命じました。この命令に伴い、56個の特殊任務巡回民警部隊が編成されました。2015年には、民警（ウクライナ語: Міліція України）が国家警察（ウクライナ語: Національна поліція України）へと改称されたことに伴い、特殊任務巡回民警（Special Tasks Patrol Militsiya）も特殊任務巡回警察（Special Tasks Patrol Police）へと改名されました。2016年現在、ドニプロ1などの特殊任務巡回警察の連隊が存在します。

特殊任務巡回警察の部隊一覧

特殊任務巡回警察は、多数の部隊で構成されています。以下に主な部隊を列挙します。

「アルテミフスク」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Артемівськ")：ドニエプロペトロフスク州で結成されました。
「ボグダン」警察中隊 (рота ПСМОП "Богдан")：2014年7月12日にフメルニツキーで結成された中隊で、その大部分は義勇兵によって構成されています。
「チェルニヒフ」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Чернігів")：チェルニヒフ州で結成されました。
「ドニプロ1」警察連隊：ドニプロペトロウシクで編成された最初の部隊の一つで、「ドニプル1」とも呼ばれています。連隊の一部である「大隊クリミア」は、クリミア・タタール人のイスラム教徒によって編成されています。
「イワノフランキフスク」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Івано-Франківськ")
「ハリコフ」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Харків")：ハリコフで編成されました。
「クレメンチュク」警察中隊 (рота ПСМОП "Кременчук")：ポルタヴァ州の有志によって編成されました。
「キエフ-1」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Київ-1")：キエフで結成されました。
「キエフ-2」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Київ-2")：キエフで編成されました。
「キエフシチナ」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Київщина")：キエフ州で編成されました。
「ルハンスク1」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Луганськ-1")
「リヴィウ」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Львiв")：西部の都市リヴィウで結成されました。
「ミロトヴォレツ」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Миротворець")：キエフ州で結成されました。
「ポルタヴァ」警察大隊：ウクライナ中部のポルタヴァ州の有志によって結成されました。2014年9月5日には、「ミルニィ」警察中隊が「ポルタヴァ」警察大隊に統合されました。
「聖母マリア」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Свята Марія")：元々は「シャフタルスク」警察大隊（別名「イエス・キリスト百人隊」）の一中隊でした。
「シュトルム」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Шторм")：オデッサ州にて編成されました。
「シチ」警察大隊：シチ特別志願大隊とも呼ばれ、ザポロージアン・コサックのシチにちなんで名付けられた、キエフの全志願兵部隊です。
「シチェスラフ」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Січеслав")：ドニエプロペトロフスク州で結成されました。
「スキフ」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Скіф")：ザポリージャの有志によって結成されました。
「スヴャティヤズ」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Світязь")
「Svyatyi Mykolai」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Святий Миколай")：ウクライナのミコライフ地域出身のボランティアによって2014年5月に結成されました。
「Zoloti Vorota」警察大隊 (батальйон ПСМОП "Золоті Ворота")：キーウで結成されました。

この他にも、MIA（内務省）はドネツク州に2つの警察大隊（「ドネツク-1」警察大隊と「ドネツク-2」警察大隊）を編成する命令を出しましたが、実際には編成されることはありませんでした。

かつての特殊警察部隊

過去には、以下のような部隊も存在しました。

アゾフ大隊 ( Батальйон "Азов")：2014年のマリウポリ防衛戦で知られ、超国家主義者やネオナチ党のメンバーによって形成されたため、物議を醸した志願兵大隊です。2014年9月には連隊に拡張され、ウクライナ国家親衛隊に移管されました。
「シャフタルスク」警察大隊 ( батальйон ПСМОП "Шахтарськ")：2014年6月にシャフタルスクで設立された、主にドンバス出身の元受刑者で構成された志願兵部隊です。2014年10月、一部隊員の略奪とフーリガン行為が告発されたことで解散し、その後「トルネード」警察大隊として復活しました。
「トルネード」警察大隊：上記「シャフタルスク」警察大隊が解散後、再編されて設立された部隊です。2015年6月18日には、メンバーの略奪、レイプ、拷問が告発されたことで解散しました。当初、この大隊は作戦の停止と武装解除を拒否しました。

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