冷凍冷蔵車

冷凍冷蔵車のすべて

冷凍冷蔵車は、生鮮食品や医薬品など、温度管理が必要な貨物を最適な温度で輸送するために設計された特殊なトラックです。一般的なトラックと異なり、荷台は断熱材で覆われ、精密な温度制御システムが搭載されています。

冷却方式

冷凍冷蔵車の冷却方式は大きく分けて2種類あります。1つは、氷、ドライアイス、液体窒素などの直接冷却方式。もう1つは、冷凍機を用いた機械式冷却方式です。機械式冷却方式では、ディーゼルエンジンを動力源とする冷凍機が主流で、車両のエンジンと直結するタイプと、独立した小型エンジンを搭載するタイプがあります。多くの車両は、フェリーでの輸送中などエンジンを停止している間も温度を維持できるよう、外部電源から冷凍機を稼働させるスタンバイ装置を備えています。近年では、燃料電池を用いた補助電源システムの研究開発も進められています。

車両の種類と運用

冷凍冷蔵車は、トラックやバンを改造した特装車タイプと、セミ[[トレーラー]]タイプがあります。また、冷凍冷蔵コンテナをトレーラーに載せて輸送する方式もあり、国際輸送や長距離輸送に適しています。コンテナはISO規格に準拠しており、特装車よりも大型化する場合があります。アメリカやヨーロッパでは、トラックごと貨車に積載するピギーバック輸送も実施されています。

歴史

機械式冷凍冷蔵車の導入は、1925年頃のアメリカのアイスクリーム業界にまで遡ります。1940年代には、アメリカでコールドチェーン（低温物流システム）が確立され、フレデリック・マッキンリー・ジョーンズが考案したトラック用冷蔵装置が特許を取得しました。彼の設立したThermo King社は現在も世界をリードするメーカーです。コールドチェーンと冷凍冷蔵車の普及により、生鮮食品や医薬品の遠距離輸送と長期保存が可能になりました。2010年時点での世界における冷凍冷蔵車の数は約400万台と推定されています。

主要メーカー

世界各国で多くの企業が冷凍冷蔵車の製造や冷却装置の開発に携わっています。国内メーカーとしては、東プレ、菱重コールドチェーン、トーハツ、デンソー、東光冷熱エンジニアリング、ダイキン工業などが挙げられます。海外メーカーでは、キャリア、サーモキング、FRIGOBLOCKなどが有名です。

陸上自衛隊における冷凍冷蔵車

陸上自衛隊でも、野外での生鮮食品などの輸送・保管のために冷凍冷蔵車を運用しています。主に需品科が使用し、後方支援部隊が装備しています。導入当初は市販車が調達されていましたが、近年は、国際活動の増加に伴い、悪路走破性を重視した4WD仕様や、シェルタ搭載仕様の車両が導入されています。東チモールやイラクでのPKO活動でも、部隊への給食支援などに活用されました。

陸上自衛隊冷凍冷蔵車の諸元（例）

全長：8,000mm
全高：3,000mm～3,300mm
全幅：2,500mm
車体重量：9,500kg～10,700kg
最大積載量：3,000kg～3,500kg
庫内温度：0℃～-18℃

主要な製造メーカーには、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックス、いすゞ[[自動車]]、日野[[自動車]]、東プレなどが含まれます。

まとめ

冷凍冷蔵車は、現代の物流において不可欠な存在であり、食品の安全確保や医薬品の有効性維持に大きく貢献しています。その技術革新はこれからも続き、より効率的で環境に優しいシステムが開発されていくでしょう。

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