特許大学

特許大学の歴史と実態

特許大学（とっきょだいがく）は、1964年6月に設立され、東京都千代田区神田に位置した株式会社である。教育機関ではなく、正式な大学とは異なる形態で運営されていた。設立者であるM氏（以後、学長と呼称）は、日本における特許や実用新案の課題を改善することを目的として設立したと話している。しかし、その実態は「特許〇〇博士」や「功爵」、「博爵」といった称号の販売を主な業務としており、約16年間で10億円以上の収益を上げたことから、詐欺的ビジネスとも見做されていた。

特許大学の称号とその活動

特許大学が提供していた博士号は、特許工学博士や特許政経学博士など、学校教育法に基づく博士号に「特許」という名称を加えたものから、特許健康哲学博士や特許警察学博士などの独自な名称まで多岐にわたった。これらの称号は商標の利用許諾の形で授与され、その一環として「審議銓衡及記録料」などとして論文審査費用を約10万円と宣伝していたが、実際には数百万円が必要となる場合が多かった。さらに、「新華族会」や「日本国民軍士会」といった組織でも異なる形式の称号を販売するなど、多角的なビジネス展開を行っていた。

有名な学者に一方的に博士号を送付したり、勧誘を行う手法も見受けられた。たとえば、経営者や政治家の名簿を作成し、それに基づいて入会を促すための案内状を送る施策を採っていたという。

運営の実態と摘発

特許大学は教育機関ではないため、正規の大学に付随する法律や規則を無視した形で運営されていた。博士号の授与に関する審査は極めて形式的で、多くの受験者が通過する一方で、学位授与に関する罰則もないため、取り締まりが困難であった。このため、特許大学は類似のディプロマミル的な取り計らいあり、さらなる問題を引き起こしていた。

1980年11月、特許大学は捜査を受け、12月には学長が書類送検される事態となった。調査の結果、特許大学は44種類の博士号を1102人に販売し、1976年からの5年間で2億570万円の利益を上げたことが明らかになった。特に、軽犯罪法違反の容疑がかけられ、詐欺的営業の手法が取り纏められたが、重罪としての立件は難しかった。

類似の事例

特許大学のような手法は他の法人でも展開されていた。例えば、国際文化学院大学は工業所有権法に基づく形で「博士号」を販売しており、関連するビジネスモデルの拡大が見て取れる。これにより、特許大学の存在背景が一層際立つこととなった。

結論

特許大学は、表向きの理念とは裏腹に、巧妙な商業活動を行い、社会的な影響を与えていた。法律のルールの穴をついての運営は、学位の価値を毀損する結果となり、多くの人々に混乱をもたらした。今となっては、特許大学の歴史は単なる社会の教訓としてではなく、適切な教育制度や学位のあり方を再考するための重要な指針ともなっている。

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