ディプロマミル

ディプロマミルの定義と影響

ディプロマミル（英: diploma mill）やディグリーミル（英: degree mill）は、実際に教育機関に通うことなく、高等教育の学位を金銭の対価として授与する団体を指します。このような機関は一般に、公式認定を受けておらず、学歴詐称の一因とされています。アメリカのスラングでは、入学や卒業が容易な大学を皮肉って呼ぶこともありますが、これは入学が簡単でも、卒業には厳しい基準があるという背景があります。

欧米における問題点

ディプロマミルの多くは公式認定団体からの認定を受けていないため、アメリカでは社会的な問題として浮上しています。多くのディプロマミルは公式ウェブサイトを持っていますが、そのトップレベルドメインが通常の教育機関が使用する.eduではなく、一般的な.orgや.netであることが特徴的です。これにより、真剣に学位を取得したい人が誤って利用する危険性があります。また、似たような名称を持つ大学が多いため、特に注意が必要です。

例えば「Creighton University」と「Clayton University」や、「ハミルトン・カレッジ」と「ハミルトン大学」というように、日本人にとって混乱を招く名称が多いため、確認が重要です。

ディプロマミルとディグリーミルの違い

偽の大学から「正式な」学位を取得するのがディプロマミルであり、実在する大学からの学位を偽造するのがディグリーミルです。後者は明らかな学歴詐称で犯罪行為であるため、特に厳しく取り締まられる対象となります。

質保証の取り組み

アメリカでは、質保証に関する取り組みが進められています。州政府が大学設置の基準を管理しているため、質の低い高等教育機関から州民を保護し、教育の質を確保するための制度が必要とされてきました。これに応じて、第三者機関による適格認定が行われるようになり、大学としての信頼性を確保するために努力が重ねられてきました。

ヨーロッパでの取り組み

ヨーロッパでも高等教育機関に対する質保証の動きが強まっています。1953年には「大学への入学に導く卒業証書の同等性に関するヨーロッパ協定」が締結され、その後も相互承認のための取り組みが進められています。エラスムス計画などが示すように、大学間の交流を促進し、質の保証を図ることが目指されています。

日本の状況

日本でもディプロマミル問題が注目されています。文部科学省は、この問題について調査を行い、国公私立大学を対象に調査を実施した結果、条件を満たさない学位を持つ教員が存在することが明らかになりました。特に、ディプロマミルの博士号を取得して教員採用に悪用されたケースもあります。

このような不正が広がる背景には、学位取得が求められる職務が増加していることもあります。特に博士課程では学位取得が必須とされる中で、過去に博士号を取得できなかった中堅研究者が不正な手段で学位を得ようとするケースがみられます。

法的問題と対策

日本の学校教育法では、大学の設立には文部科学大臣の認可が必要です。これに違反すると罰金が科されますが、ディプロマミルはこの基準を満たしておらず、その行為は違法です。また、学位の使用に関しても、称号詐称の罪が適用されるケースがあります。

公的機関は、質の保証や情報提供の充実を図るため、信頼性の高い情報を収集し、広く一般に公表する必要があります。そのためにも、各大学における教育情報の公表が求められています。このような対策は、今後ディプロマミルから若者を守るために非常に重要です。

もう一度検索