犀川事件

犀川事件 (さいがわじけん)

犀川事件は、岐阜県南西部に位置する犀川を巡る二つの事件から成り立っています。これらの事件は、それぞれ1929年（昭和4年）と1936年（昭和11年）に発生しました。最初のものは「第1次犀川事件」として知られ、河川改修に対する住民の反発が中心的な問題でした。二つ目は「第2次犀川事件」と呼ばれ、豪雨による水位調整樋門の操作にまつわる住民の対立が焦点となりました。特に第1次事件は「犀川騒擾事件」とも呼ばれ、地域住民の声が強く台頭したことが見逃せません。

犀川事件以前の状況

事件の前、犀川の流域である本巣郡南部は水害に悩まされており、川の排水が悪く、住民たちは常に水害に恐れを抱いていました。周囲には輪中が形成され、1752年に始まった治水事業は一時的な改善をもたらしましたが、真の解決には至りませんでした。1735年から1737年にかけて提案された改修案が存在していたものの、住民の反対もあり、実現には至りませんでした。近代に入ると、様々な計画が持ち上がりましたが、やはり住民の反応は厳しく、真剣な対話が欠けていた状況でした。

第1次犀川事件

1922年、犀川流域の本巣郡の村々は、安八郡に向けて放水路を整備する協力を呼びかけましたが、安八郡の水防組合は完全なる反対を表明しました。さらに1928年には、農林省による工事が進められ、住民の意見を無視されたまま改修計画が進行しました。これに反発した住民たちは、町村長と共に岐阜県庁へ抗議に向かい、1月7日には3000人が集結します。しかし、県は効果的な対応を取らず、翌日の対立を引き起こしました。

事件は1月8日から9日にかけてエスカレートし、警察と住民の間で衝突が生じました。この騒乱は激化し、最終的に警察の増援が必要となり、さらには軍隊も派遣される事態にまで至りました。結果的に、住民代表が県庁を訪れ、水事業の再検討を求めることに成功しましたが、事件による逮捕者も出るなど、当時の社会の緊張を映し出しました。

事件以後

第1次犀川事件の結果、改修計画は大きく見直されることになりました。新しい計画では、改修工事が長良川沿いに新川を開削し、より適切に水を流すことを目的としました。この計画は1930年に伝えられ、1936年には新犀川が完成します。また、事件の記憶を受け継ぐために、名森村役場の跡地には「犀川事件碑」が建立されています。

第2次犀川事件

1938年、記録に残るこの地域を襲った豪雨によって、住民たちの間に再び緊張が生まれました。樋門の故障により、下流側との対立が生じ、再び住民と当局の対立が顕在化しました。この事態を受けて、今度は新たに「犀川溢流樋門」が整備されることとなり、地域の水害対策が進められました。

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