犬コロナウイルス感染症

犬コロナウイルス感染症について

犬コロナウイルス感染症（Canine Coronavirus Infection）は、アルファコロナウイルス属に分類される犬コロナウイルス（CCV）の感染を原因とする、イヌ科動物の感染症です。別名、犬コロナウイルス病とも呼ばれます。

感染経路と特徴

この感染症は、主に糞便を介した経口感染（糞口経路）によって犬から犬へと伝播します。感染してもウイルス血症を引き起こすことはありません。ウイルスの主な標的細胞は小腸の絨毛上皮細胞です。

多くの犬は感染しても症状を示さない不顕性感染ですが、発症した場合は、元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢などの症状が現れます。特に嘔吐や下痢が激しい場合には、顕著な脱水症状を引き起こすことがあります。通常、症状は1週間程度で回復し、致死率は低いとされています。

注意すべき点

犬パルボウイルス2型との混合感染は、病状を悪化させ、回復を遅らせるだけでなく、致死率を上昇させる可能性があるため、注意が必要です。

診断方法

犬コロナウイルス感染症の診断には、糞便中のウイルス粒子を電子顕微鏡で確認する方法が最も有効です。また、RT-PCR法や蛍光抗体法も応用されています。

治療法

治療は、症状を緩和する対症療法が中心となります。また、細菌による二次感染を防ぐために抗生物質の投与も有効です。

ワクチン

犬コロナウイルス感染症の予防には、非経口投与型の不活化ワクチンと生ワクチンが市販されています。

人への感染

犬コロナウイルスは人に感染することはありません。

関連事項

腸炎

参考文献

見上彪監修『獣医感染症カラーアトラス』文永堂出版、2006年、ISBN 4830032030
* 小沼操ほか編『動物の感染症 第二版』近代出版、2006年、ISBN 4874021239

もう一度検索