犬丸徹三

犬丸徹三：ホテル業界と東京の発展に貢献した実業家

犬丸徹三（いぬまる てつぞう）は、1887年（明治20年）に石川県で生まれ、日本のホテル業界と東京の発展に大きく貢献した実業家です。帝国ホテル社長、日本ホテル協会会長、東京モノレール社長などを歴任し、その手腕を発揮しました。

ホテルマンとしてのキャリア

東京高商（現一橋大学）卒業後、犬丸は満鉄経営のヤマトホテルでホテル業界に入りました。当初はボーイとして働き、慣れない業務に苦労しながらも、様々な職種を経験しました。その後、上海、ロンドン、ニューヨークのホテルで勤務し、1919年に帝国ホテルに入社しました。副支配人、常務、専務を経て、1945年には社長に就任。1970年までその職を務め、帝国ホテルを日本を代表する一流ホテルへと育て上げました。

東京モノレールの設立

犬丸は、東京モノレールの設立にも深く関わっています。1938年にスウェーデンの富豪アクセル・ヴェナー＝グレンと知り合ったことがきっかけで、モノレール事業に関わることになりました。ヴェナー＝グレンが設立したALWEG社でモノレールを開発していたドイツ人技師と出会い、モノレールへの投資を依頼されます。当初は関心がなかったものの、東京の交通事情の悪さを憂慮していた犬丸は、モノレールがその解決策になると考え、1960年に日本高架電鉄（後の東京モノレール）の社長に就任しました。

東京オリンピック開催に合わせて、1964年に東京モノレール羽田空港線を開業させました。しかし、オリンピック後に経営難に陥ったため、1965年に社長を辞任しました。犬丸の壮大な路線構想は実現しませんでしたが、東京モノレールは現在も多くの人々に利用されています。

人物像と功績

犬丸は、ホテル経営の改革を積極的に行い、日本のホテル業界を一流に引き上げた功労者です。帝国ホテルでは、スモーガスボードスタイルをヒントに「バイキング」を考案しました。また、帝国ホテルのライト館取り壊しについては、老朽化が原因ではありましたが、世間から批判を浴びることもありました。

犬丸は、東京モノレール経営時に知り合った名古屋鉄道社長の土川元夫と友好関係を保ち、帝国ホテルのライト館の玄関部分を明治村に移設しました。1981年に93歳で亡くなるまで、その人生をホテル業界と東京の発展に捧げました。

犬丸徹三の主な略年譜

1887年（明治20年）：石川県能美郡根上村（現能美市）に生まれる
1910年（明治43年）：東京高等商業学校（現一橋大学）卒業
1910年（明治43年）：満鉄経営のヤマトホテル勤務
1919年（大正8年）：帝国ホテル入社、副支配人に就任
1945年（昭和20年）：帝国ホテル社長に就任
1960年（昭和35年）：日本高架電鉄（東京モノレール）社長に就任
1964年（昭和39年）：東京モノレール羽田空港線開業
1965年（昭和40年）：東京モノレール社長を辞任
* 1981年（昭和56年）：死去、享年93歳

犬丸徹三は、ホテルマンとしての卓越した能力と、東京の発展に貢献したいという強い意志を持ち合わせた人物でした。その功績は、今日でも高く評価されています。

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