ALWEG

ALWEG（アルヴェーグ）モノレールの概要

ALWEG（Axel Lennart Wenner-Gren、アルヴェーグまたはアルウェーグ）は、ドイツで開発されたモノレール技術およびその運営会社の名前です。名称の由来は、設立者のアクセル・レンナルト・ヴェナー＝グレンの頭文字にちなんでいます。このモノレールは、1950年代から現在に至るまで、様々な公共交通システムに採用されています。

発端と歴史

ALWEGの起源は1950年に遡ります。当時、ジョン・A・ヘスティングがロサンゼルスで新たな公共交通機関の導入計画を進めている中で、モノレールがその選択肢の一つとなりました。元々、跨座式モノレールの特許はドイツの技術者、エルンスト・カール・ロシャーが持っていましたが、第二次世界大戦の影響で行方不明になったため、ヴェナー＝グレンが事業を起こしました。その結果、1951年には交通機関研究所が設立され、続いて1953年にアルヴェーグ開発という名前に変更されました。

ALWEG式モノレールは、1961年のトリノ国際博覧会や1962年のシアトル万国博覧会で導入され、1964年には東京モノレールとして日本でも運用が開始されました。しかし、ヴェナー＝グレンが1961年に亡くなった後、ALWEG社自体は経営難に陥りました。

モノレールの特徴

ALWEG式モノレールの主な特徴は、空気入りタイヤを装備した車両であり、これにより安定した走行性能が発揮されます。しかし、この形式のモノレールには独特の設計思想があり、車両の重量を分散させるために大きなゴムタイヤハウスが車内に必要となり、その結果、使えるスペースが制限されるという課題があります。

また、ALWEG式の軌道にはエポキシ樹脂や鋼板床が用いられ、太い中空I字型のプレストレスト・コンクリート製の桁が組まれています。一部の場所では鋼製桁が使用され、支柱の間隔は15～22メートルです。日本の名鉄モンキーパークや東京モノレールでも、このALWEG式の方式が採用されてきました。

長所と短所

ALWEG式モノレールの最大の長所は、高架化が容易であり、足元に占有する敷地面積が小さいため、都市部に適した交通機関である点です。また、ゴムタイヤの使用により騒音が少なく、急勾配を克服する能力があります。さらに、重心が低いという特性から、高速運転にも適しています。

しかし、ALWEG式には短所も存在します。走行路が一方向にしかないため、台車には複雑な機構が求められ、コストが嵩むことが挙げられます。また、ゴムタイヤは鉄道の車両に比べて摩耗が早く、維持費が高くなる傾向もあります。踏切が設けられないため、駅間での移動が難しく、トラブル時の避難も困難となる場合があります。

ケルンでの試験

1952年から1960年代半ばまでの間、ケルン近郊にてALWEG式モノレールの試験が行われました。最初の試験線は縮尺2/5の小型で1967年には撤去され、現在はその跡地に公園が造られています。試験線の存在を示す案内板やモニュメントも設置されています。

日本における導入

ALWEG式モノレールは、日本でも多くの路線に採用されてきました。特に大阪万博では、イベント会場内の移動手段として導入され、その後も多くの都市で高架型モノレール路線が開業しています。これにより、日本国内での交通インフラに大きな影響を与えました。

1970年には、日本の万博で日本独自の跨座式モノレールが初めて導入され、以後の国内モノレールのモデルとなりました。ALWEG式と日本の跨座式モノレールは共通点もありますが、別物として発展を遂げています。

まとめ

ALWEG式モノレールは、ドイツで生まれ、多年にわたって公共交通機関に革新をもたらした技術です。市街地の交通需要に応じた設計特性を持つ一方で、複雑な機構や維持費面での課題も抱えています。今後の発展に期待がかかる技術でもあるでしょう。

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