犬伏稔昌

犬伏稔昌：西武ライオンズの左キラーと12年ぶりの日本一への貢献

犬伏稔昌氏は、1972年4月24日生まれの大阪府東大阪市出身の元プロ野球選手です。主に捕手と内野手として活躍し、西武ライオンズ一筋で15年間プレーしました。チームメイトからは「ワンちゃん」の愛称で親しまれていました。

プロ入り前

小学1年生からボーイズリーグで野球を始め、中学時代は捕手としてプレーしていました。近畿大学附属高等学校では一塁手として活躍し、1990年の選抜高等学校野球大会で全国制覇を経験しました。高校通算19本塁打を放つなど、打撃センスにも定評がありました。高校卒業後は、1990年のドラフト会議で西武ライオンズから3位指名を受け、プロ入りを果たしました。

西武ライオンズ時代

プロ入り後は、正捕手として君臨する伊東勤選手の存在もあり、なかなか一軍出場機会に恵まれませんでした。長く下積み生活を送る中、1996年に一軍初出場を果たしますが、その後は再び苦しい時期が続きます。しかし、2000年6月23日のオリックス戦で、10年目にしてプロ初本塁打を記録しました。この本塁打は、左投手・金田政彦投手から放ったものでした。

2002年、伊原春樹監督の下で転機が訪れます。開幕2戦目に3番・指名打者としてスタメンに抜擢されると、その才能が開花しました。特に左投手に対する打率は.368と高く、「左キラー」として一軍に定着しました。左投手が先発の試合では3番・指名打者として不動の地位を築き、チームに貢献しました。この起用の背景には、当初3番を予定していた髙木大成選手の戦線離脱と、伊原監督が2000年の金田投手からの初本塁打を覚えていたことが挙げられます。右投手先発の試合では代打の切り札として活躍し、6月20日の福岡ダイエーホークス戦では代打逆転サヨナラ3ラン本塁打を放つなど、チームの優勝に大きく貢献しました。

2004年は一軍出場はわずか8試合でしたが、クライマックスシリーズ第2ステージ第5戦で、延長10回表1死1,3塁の場面で代打として出場。セーブ王・三瀬幸司投手の初球を捉え、犠飛を放ちました。この犠飛が決勝点となり、チームはリーグ優勝、そして12年ぶりの日本一を達成しました。

2005年シーズンは一軍出場がなく、同年限りで現役を引退しました。

引退後

引退後は西武ライオンズのチームスタッフとして球団に残り、2010年に退団しました。その後は、2011年から大久保博元氏が主宰する「デーブ・ベースボール・アカデミー」の講師を務めています。

人物

元マラソン日本記録保持者である犬伏孝行氏とは親戚関係にあります。

詳細情報

初出場：1996年7月13日、対福岡ダイエーホークス戦
初打席・初安打：同上
初先発出場：2000年6月22日、対大阪近鉄バファローズ戦
初本塁打・初打点：2000年6月23日、対オリックス・ブルーウェーブ戦

背番号：50、32、64、95

犬伏稔昌氏のプロ野球人生は、決して順風満帆ではありませんでしたが、地道な努力と持ち前の明るさで、多くのファンを魅了しました。左キラーとしての活躍や、日本一に貢献した貴重な一打など、記憶に残る数々のプレーは、多くの野球ファンにとって忘れられないものとなっています。彼の野球人生は、努力と忍耐の大切さを教えてくれる、感動的な物語です。

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