犬子ひょうたん祭

犬子ひょうたん祭（いんごひょうたんまつり）

熊本県山鹿市にある八坂神社（大宮神社境内社）で、毎年6月15日に開催される伝統的な祭事です。この祭りは、正式には「祇園祭」と呼ばれており、地元の人々にとっては夏の訪れを告げる風物詩となっています。

犬子ひょうたんの授与

祭りの最大の特徴は、ひょうたんを抱えた子犬を模した新粉細工のお守り「犬子ひょうたん」が授与されることです。この可愛らしいお守りは、無病息災を願う多くの参詣者によって求められ、厄除けとして大切にされています。毎年、祭りの日には多くの人々がこのお守りを求めて神社を訪れ、境内は大変な賑わいを見せます。

初かたびら

山鹿では、この祭りの日を「初かたびら」と呼び、この日から浴衣を着始めるという古くからの習慣があります。これは、夏の到来を告げるとともに、夏の装いを始める一つの節目として、地域の人々に大切に受け継がれています。

祭りの由来

犬子ひょうたん祭の祭礼名は、疫病退散に効果があったとされる子犬の伝承に由来します。この子犬は神の使いとされており、その伝承には二つの説があります。

1つは、京都の祇園社（八坂神社）の神霊を山鹿の阿蘇品家に勧請した際に、一緒にやってきた子犬をかたどって作られたという説です。もう1つは、同家で祀っていた祇園社を大宮神社へ勧請した際、神輿の後に子犬がついてきて離れず、神社に着くと姿を消したことにちなんで作られるようになったという説です。

どちらの説も、子犬が神聖な存在として扱われ、この祭りの重要な要素となっていることを物語っています。

祭りのスケジュール

祭りの当日には、様々な催し物が開催され、地域の人々や観光客を楽しませています。

紙芝居

大宮神社の境内では、犬子ひょうたん祭の由来についての紙芝居が上演されます。この紙芝居は、地元のグループである「ひょうたん会」のメンバーによって行われ、祭りの歴史や意味を分かりやすく伝えてくれます。子供から大人まで、多くの人がこの紙芝居を楽しんでいます。

神楽

また、大宮神社の境内では、地元の男性によって神楽が奉納されます。神楽の回数は年によって異なりますが、奇数回行われることが多く、祭りの雰囲気を盛り上げます。神楽は、神様への感謝と祈りを込めた伝統的な舞であり、この祭りの重要な要素となっています。

参考文献

この祭についての詳しい情報や歴史については、佐々木哲哉氏の著書「九州の民間信仰」に詳しく記述されています。

関連情報

関連する情報として、以下のものがあります。

大宮神社 (山鹿市): 犬子ひょうたん祭が開催される神社。
鹿子木灯: 山鹿犬子ひょうたんキャラクターのデザインを担当。

外部リンク

* 大宮神社公式サイト - ウェイバックマシン（2005年4月5日アーカイブ分）


犬子ひょうたん祭は、山鹿の歴史と文化を今に伝える貴重な祭事です。地域の信仰や伝統が色濃く残るこの祭りを訪れて、その魅力を体感してみてはいかがでしょうか。

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