犬釘

犬釘とは

犬釘（いぬくぎ）とは、鉄道のレールを枕木に固定するための特別な釘で、主にレール締結装置として使用されています。この釘は鉄道の発展期から長い歴史を有し、今でも一部の事業で利用されている重要な部品です。

犬釘のデザインと名称の由来

犬釘は、ヨーロッパ型とアメリカ型の2つのスタイルがあります。ヨーロッパ型は釘頭部がレールやプレートをしっかりと押さえる形状をしており、それが犬の鼻を連想させるため「dog spike」と呼ばれています。一方、アメリカ型の釘は頭部が丸く、亀の形状に似ているため「turtle spike」と名付けられています。このように、それぞれのデザインには文化的な背景が存在します。

日本では、明治時代にヨーロッパから犬釘が輸入され、鉱山や鉄道の現場で使用されてきました。現存する最古の犬釘は、明治時代の石見銀山で使用されたドイツ製のもので、2019年度には推薦産業遺産として認定されています。このように、犬釘は日本の鉄道歴史を語る上で欠かせない存在です。

技術の進化

犬釘は時代と共に進化を遂げてきました。最初は鋳造で製造されていましたが、後に鍛造技術が導入され、効率と強度が向上しました。また、釘の頭部形状も次第に扁平な半球状に変化していったものの、釘本体の水平断面は「回り止め効果」のある四角形を維持し続けました。

使用上の問題点

犬釘は枕木に直接打ち込むことでレールを固定しますが、振動によって緩んでしまう欠点があります。一度打ち込んだ犬釘を再度打っても、元の強い固定力を発揮することは難しくなります。さらには、木製の枕木にも自然素材ならではの問題があり、割れや腐朽が進行することがあります。これらの問題は、列車の高速運行や頻繁な運行ダイヤにおいて大きな妨げとなりました。

現代における代替技術

これらの課題を解決するために、犬釘と木製の枕木の組み合わせは次第に廃れつつあります。特に幹線鉄道ではPC製の「まくらぎ」やスラブ軌道が主流となり、それに伴って締結装置もボルトと板ばねの組み合わせ、またはロール形ばねが使用されるようになりました。

さらに、木製の枕木を用いる場合でも、レールの底面に合わせた溝のある小さな鉄板「タイプレート」を打ち付け、タイプレートと犬釘を組み合わせて固定する方法や、タイプレートとレールをボルトと板ばねで結合する新たな方式が普及しています。

結論

犬釘は鉄道の発展において重要な役割を果たしてきましたが、現代の技術進化とともにその役割は変わりつつあります。それでも、犬釘の歴史を知ることは、鉄道と技術の進化の理解に繋がる大切なポイントとなります。

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