犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律

犯罪被害者等給付金支給法

犯罪被害者等給付金支給法（はんざいひがいしゃとうきゅうふきんのしきゅうとうにかんするほうりつ）は、犯罪の被害を受けた方々、及びその遺族への経済的支援を目的にした日本の法律です。この法律は1980年5月1日に成立し、その後数回にわたり改正が行われています。最初は「犯罪被害者等給付金支給法」という名前でしたが、2001年にはその題名が改められ、2008年からは「犯罪被害者支援法」として知られるようになりました。

制定の背景

この法律の制定には、1967年に結成された「殺人犯罪の撲滅を推進する会」と「被害者補償制度を促進する会」が重要な役割を果たしました。これらの団体は、犯罪被害者への支援を求める声を国に届け、1974年の三菱重工爆破事件を契機にこの法律が制定されるに至りました。法律は1981年1月1日から施行され、最初の給付金が支給されたのは、群馬県で発生した幼児殺人事件でした。

支給内容

この法律に基づく給付金は、遺族給付金、重傷病給付金、障害給付金などが含まれています。2022年度には、遺族給付金の平均支給額が743万円に達しました。2023年度には143件の支給が決定され、合計約10億1000万円が被害者に届けられる予定です。

• - 遺族給付金: 320万～2964万5000円
• - 重傷病給付金: 上限120万円
• - 障害給付金: 18万～3974万4000円

ここで、特に遺族給付金は多くの場合、個々の被害者の状況に応じて変動しますが、2023年度の最高額は約2590万円でした。

依然残る問題点

この法律にはいくつかの改善が求められている問題点が存在します。主な問題は以下の通りです。
1. 支援対象が日本国内の犯罪に限定されており、海外で犯罪に遭遇した場合は支援が受けられない。
2. 生活保護受給者が給付金を受け取ったとき、収入として計算され保護費が減額される場合がある。
3. DVや児童虐待の被害者や、被害者に落ち度があった場合には支援対象外となる。
4. 事件直前の収入を基に支給額が算定されるため、かつての仕事を辞めたり、休業している被害者には十分な支援ができない恐れがある。
5. 加害者が親族である場合、給付金が減額されるケースも存在。

これらの問題に対して、特に海外犯罪の被害者への支援が法律に明記されていないことが批判を受けており、2016年にはその後の対応として国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法令が施行される運びとなりました。この新しい法律により、海外で犯罪により死亡した日本国民の遺族に対して支援が行われますが、その支給条件は厳しく、支給額も100万円と限られています。これに対しても、さらなる制度改善が求められています。

裁判例と今後

2021年には、兵庫県で起こった兄弟殺害事件の被害者家族が、加害者が親族であるという理由だけで給付金が減額されるのは違憲であるとして訴訟を起こしました。このように、法律の改定や解釈について今後も議論が続くことは必至です。

犯罪被害者等給付金支給法は、犯罪被害者やその遺族に必要不可欠な支援を提供する重要な法律ですが、現行の制度には改善の余地が多くあります。法律の制定当初からの目的を再確認しつつ、より多くの被害者にとって有意義な制度作りが必要とされています。

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