狂乱の炎

スレイド『狂乱の炎』：栄光と苦悩を描くサウンドトラック

『狂乱の炎』（原題: Slade in Flame）は、イギリスのロックバンド、スレイドが1974年に発表した5枚目のオリジナル・アルバムであり、同名映画のサウンドトラック盤です。バンド自身が出演したこの映画は、音楽業界の光と影を描いた作品で、アルバムは映画の内容を反映した、スレイドにとって意欲的な作品となりました。

背景：マンネリからの脱却、新たな挑戦

1974年当時、スレイドはシングルやアルバムのチャートで成功を収めていましたが、バンド内にはマンネリ感が漂っていました。そんな中、マネージャーのチャス・チャンドラーが、バンドが出演する映画を制作することを提案。映画は、1960年代を舞台に、架空のバンド「フレイム」の栄光と挫折を描いた物語で、脚本はスレイドをはじめとするバンドが実際に体験した音楽業界の出来事をモチーフとしていました。

ホルダーとリーは、映画のサウンドトラックのために楽曲を書き始めました。5回目の全米ツアー終了後、約1ヶ月をかけて本作のレコーディング・セッションを行い、これまでの方向性から脱却するかたちで、ブラスセクションを取り入れるなど、様々なアイデアがサウンド面に取り入れられました。ドン・パウエルは「スタンディン・オン・ザ・コーナー」について、「初めてブラスを取り入れた楽曲で、素晴らしいスウィングになった」と語っています。

リリースと評価：成功の影で

先行シングル『ファー・アウェイ』は、全英シングルチャートで最高位2位を獲得し、アルバムへの期待を高めました。しかし、1974年11月29日に発売された本作は、評論家からは好評を得たものの、全英アルバムチャートでは最高位6位となり、前作まで続いていた首位獲得を逃しました。

映画『スレイド・イン・フレイム』は、1975年1月に公開されましたが、公開当時のファンからは芳しい評価を得られませんでした。同年2月には、本作からのリカット・シングル『ハウ・ダズ・イット・フィール』が発売され、全英シングルチャートで最高位15位を獲得しました。

その後

2006年にはサルーボ・レコードよりリマスター盤が発売され、日本盤にはボーナス・トラックとしてアルバム未収録のシングル曲が追加収録されました。2015年には、デジタル・リマスターが施された映画を収録したDVDが付属した「CD+DVD」の形態で再発売され、再び注目を集めました。

『狂乱の炎』は、スレイドにとって新たな挑戦であり、音楽業界の裏側を描いた映画との連動によって、バンドの音楽性をさらに深化させた作品と言えるでしょう。

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