ハウ・ダズ・イット・フィール

スレイド「ハウ・ダズ・イット・フィール」：映画を彩った異色の名曲

スレイドの「ハウ・ダズ・イット・フィール」（How Does It Feel）は、1975年に発表された楽曲です。5枚目のオリジナル・アルバム『狂乱の炎』に収録され、後にシングルカットされました。この曲は、スレイド主演の映画『スレイド・イン・フレイム』のテーマソングとして使用され、オープニングとエンディングを飾りました。

作詞作曲は、バンドの主要メンバーであるノディ・ホルダーとジム・リー。プロデュースは、スレイドの初期の成功を支えたチャス・チャンドラーが担当しました。

制作の背景

1970年代初頭、スレイドはシングルやアルバムのチャートを席巻し、人気絶頂期を迎えていました。しかし、その一方で、バンド内にはマンネリ感が漂い始めていたといいます。そんな状況を打破するため、マネージャーのチャス・チャンドラーは、スレイドが出演する映画の制作を提案しました。これを受けて、ホルダーとリーは映画のサウンドトラック制作に取り組み始め、バンドは新たな音楽性の探求をスタートさせたのです。

「ハウ・ダズ・イット・フィール」のメロディは、実は1970年にジム・リーによって書かれたものでした。調律が狂ったピアノで作曲されたこの曲は、リーが初めて書いた楽曲だったそうです。長らく日の目を見ることがなかったこの曲は、映画『スレイド・イン・フレイム』のテーマ曲を探していたホルダーによって歌詞が書き加えられ、見事に蘇りました。リーは1984年に、「僕が書いた古い楽曲で、ノディが素晴らしい歌詞を付けてくれた」と当時を振り返っています。

リリースと評価

1975年2月にシングルとしてリリースされた「ハウ・ダズ・イット・フィール」は、全英シングルチャートで最高15位を記録しました。これは、1971年の「ゲット・ダウン」以降、スレイドにとって初めてトップ5入りを逃したシングルとなりました。しかし、この曲はスレイドの楽曲の中でも特に評価が高く、1999年にはノエル・ギャラガーが「ポップ・ミュージック史でこれまでになく最高の1曲」と絶賛しています。

「ハウ・ダズ・イット・フィール」は、イギリスをはじめ、アイルランド、ヨーロッパ各国、スカンジナビア、ユーゴスラビア、オーストラリア、日本など、世界各国で7インチシングルとして発売されました。アメリカでは、ワーナー・ブラザーズ・レコードからリリースされています。興味深いことに、ポリドール・レコードから発売されたシングルとアメリカ盤では、B面曲が異なっており、前者は「ソー・ファー・ソー・グッド」、後者には「昨日は昨日」が収録されました。

プロモーションとミュージック・ビデオ

残念ながら、「ハウ・ダズ・イット・フィール」のミュージック・ビデオは制作されていません。しかし、イギリスでは音楽番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』や『ラッセル・ハーティ・ショー』、子供向け番組『クラッカー・ジャック』などで演奏されました。また、オランダの音楽番組『TopPop』でも披露されています。

批評家からの評価

「ハウ・ダズ・イット・フィール」は、リリース当時から音楽メディアから高い評価を受けていました。『レコード・ミラー』誌は、「いつものスレイドのサウンドとは大きく異なる」と評し、「ギターへの依存度がはるかに低く、オーケストラ・アレンジが多用されている」と指摘しました。『ディスク』誌は、この曲を「スレイドの最高傑作の1つ」と絶賛し、「静かに始まり、高まっていき、一度静まり、そして激しくなるのを繰り返す」と表現しました。『キャッシュボックス』誌は、1975年8月にこの曲を「今週のピックアップ」の1つとして挙げ、「効果的なボーカルとタイトなリックを備えた、バラードに匹敵するような効果的なシングル」と評しました。

アルバム『狂乱の炎』のレビューでも、「ハウ・ダズ・イット・フィール」は高く評価されています。『レコード・ミラー』誌は、「ゆったりとしたビートに、つかみ所のないドラマチックなボーカルが乗っている」と評し、『ディスク』誌は「ほぼ完全にノディの声が先行していて、結果的に激しくて型破りな曲になっている」と評しました。オールミュージックのジェフ・ギンズバーグは、「オープニング・ナンバーの『ハウ・ダズ・イット・フィール』から、スレイドは異なるトーンに定めている」と述べています。

メンバー

ノディ・ホルダー - リード・ボーカル、ギター
デイヴ・ヒル - リードギター、バッキング・ボーカル
ジム・リー - ベース、ピアノ、オルガン、フルート、バッキング・ボーカル
ドン・パウエル - ドラム

カバー・バージョン

「ハウ・ダズ・イット・フィール」は、数多くのアーティストによってカバーされています。

クリス・ファーロウ（2001年、トリビュート・アルバム『Slade Remade』）
デフ・レパード（2006年、アルバム『Yeah!』のiTunes限定ボーナス・トラック）
ジェイムズ・ブラント（2016年、インヴィクタス・ゲームのオープニング・セレモニー）
ジョアンナ・フォレスト（2017年、アルバム『Stars Are Rising』）

「ハウ・ダズ・イット・フィール」は、スレイドの音楽キャリアにおけるターニングポイントとなった重要な作品です。従来のイメージを覆す、実験的なサウンドとドラマチックな構成は、多くの音楽ファンを魅了し続けています。

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