狂乱物価

狂乱物価の概念と背景

狂乱物価（きょうらんぶっか）とは、主に1970年代半ば、特に1974年に日本で観察された異常な物価の高騰を指します。この時期の物価上昇は、政治家の福田赳夫にちなんで名付けられました。物価の急激な上昇は、さまざまな経済的、政治的要因から生じ、特に1972年に発足した第1次田中角栄内閣の「日本列島改造論」が関連しています。この政策は土地への投機を促進し、アクティブな財政政策と相まってインフレーションを引き起こし、地価や株価の急騰をもたらしました。これがいわゆる列島改造ブームと呼ばれる現象です。

さらに、1973年10月6日に発生した第四次中東戦争は第一次オイルショックを引き起こし、これも物価の上昇を加速させました。このような背景のもと、「狂乱物価」という名称が生まれました。

物価の上昇と経済への影響

具体的な数字としては、1973年の総合卸売物価は前年に比べて15.6%上昇し、1974年には31.4%に達しました。同様に、消費者物価指数も1973年で11.7%、1974年で23.2%の上昇を記録しました。さらに、1974年の実質GDPは-0.2%と、経済の縮小を示しています。

また、春闘においての賃上げ率も顕著で、1973年には20%の上昇が見られ、1974年には33%に達しました。これらのデータからも、狂乱物価がいかに日本経済に大きな影響を及ぼしたかがうかがえます。

この時期、日本の景気は1973年11月をピークに下降し、1974年には第二次世界大戦後初のマイナス成長を記録しました。

経済学者の見解

専門家の間でも議論が行われています。1973年6月に発表された「日本銀行調査月報」では、1970年代に入ってからの貨幣供給の増加が「金融機関の貸し進みによるものであった」と指摘しています。経済学者の小宮隆太郎は、オイルショック前の過剰な金融緩和政策と、その後の引き締め作業の遅延が企業や労働組合を促し、製品価格の上昇や賃金上昇を引き起こしたと分析しています。

まとめ

狂乱物価は、日本社会に長期的な影響を残し、経済政策に見直しを求める契機となりました。この時期の教訓は、現在においても経済政策の重要性を再評価する材料となっており、過去の出来事から学ぶことは多いといえるでしょう。

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