狛猫

狛猫について

狛猫（こまねこ）は、京都府京丹後市峰山町に位置する金刀比羅神社の境内社、木島神社と猿田彦神社に安置された一対の猫の石像です。この狛猫は、例えば狛犬と同様に神社の左右に設置されています。2020年9月1日には『金刀比羅神社石造狛猫』として京丹後市の文化財に指定されました。この神社が含まれる文化遺産としては、日本遺産に認定された『300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊』があり、地域の文化的な価値を示しています。

狛猫の由来

狛猫の歴史は1720年（享保5年）に始まります。この年、絹屋佐平治が丹後ちりめんの主要産地として繁栄する峰山町で、農民と共にネズミと戦った猫を大切にしていたことが最初の背景です。金刀比羅神社内の木島神社は、1830年（文政13年）に峯山藩のちりめん業者によって勧請され、養蚕の守護神として祭られました。木島神社には阿形の狛猫が前に置かれ、向かって左側に建てられています。

狛猫の奉納と成り立ち

1832年（天保3年）には、近江商人の外村家が阿形の親子猫の石像を奉納しました。この商人は、江戸や地域の織物産業に深く関わっていたため、木島神社の神様に貢献しようとしたと推測されます。この時奉納された猫は、ネズミを威嚇するために口を開いた阿形の像が最初であり、この猫は猫地蔵の役割も果たしていたと考えられています。その後、1846年（弘化3年）に吽形の猫が追加で奉納され、今日の形の一対となりました。その背景には、当時では人気があった狛犬のスタイルが影響しているとも言われています。

製作者と特徴

阿形の親子猫の製作者は、台座に名前が刻まれた石工、長谷川松助であり、当時の丹後地方で評価されていた職人です。彼の作品は京丹後地域に多く見られ、中でも平地地蔵という立位石仏が有名です。一方で、吽形の猫の作者は不明ですが、1846年に奉納されたことが記録されており、考古学的に貴重な存在とされています。

これらの猫の石像は、狛犬と異なり、地域特有の守護獣である猫を象っています。また、材質には凝灰岩が用いられ、阿形の親子猫は75.5センチメートルの高さを誇り、子猫は親猫の胸毛を握っています。一方、吽形の猫は78センチメートルで、台座には1846年の銘文が記されています。

現代の文化と地域振興

現在、狛猫は地域おこしにおいて重要な役割を果たしています。2011年に「ねこプロジェクト」が立ち上げられ、2016年からは「こまねこまつり」が開催されています。このプロジェクトでは、金刀比羅神社の200年祭に合わせて陶製の狛猫も制作され、地域住民が絵付けをし、境内及び自宅に飾る取り組みが行われました。また、町内の様々な店舗で狛猫をテーマにした商品が登場しており、地域のシンボルとして親しまれています。

日本全国の猫信仰

猫は、日本各地でも神として崇められる例が見られます。養蚕を守る役割や、独自の伝説が各地にあり、それぞれの地域で独特の猫信仰が存在しています。京丹後の狛猫は、そうした例の中でも特に養蚕に関連した重要な存在となっています。

このように、狛猫は地域の歴史や文化に根ざし、多くの人々に愛され続けています。地元の祭りやイベントを通じて、今後もその魅力が広がり続けることでしょう。

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