狩野紀昭

狩野紀昭: 日本の教育者、品質管理の先駆者

狩野紀昭（かのう のりあき）は1940年生まれの日本の教育者、著述家、コンサルタントであり、特に品質管理の分野でその名を知られています。東京理科大学の名誉教授として、教育と研究の両面で大きな影響を与えてきました。彼の業績の一つである「狩野モデル」は、顧客の視点から製品やサービスの品質を評価する新たな仕組みを示すものです。

狩野モデルの概要

狩野は製品における顧客満足を高めるための要素を二つに区別しました。ひとつは、製品にとって欠かせない「当たり前の要素」、そしてもうひとつは、他社製品と差別化するための「魅力的な要素」です。このシンプルなランキングは、企業が顧客の期待にこたえるための指標となり、1980年代には顧客満足モデルの新たなアプローチを構築したとされています。狩野は、企業の製品やサービスがすべての要素で均等に評価されるべきではなく、特定の特徴が顧客ロイヤリティを高めることが重要であると主張しました。

教育と経歴

狩野は東京大学工学部で学士、修士、博士号を取得し、その後1970年に電気通信大学に講師として就任しました。1975年には助教授、1982年には東京理科大学で教授として教育界に貢献しました。2006年に定年退職し名誉教授の称号を得てからも、教育や研究の場でに活躍しています。

主な業績と受賞歴

狩野の業績として特に著名なのが、1996年に発表した論文『Guide to TQM in Service Industries』です。この論文は、品質管理における新たな視点を提供し、多くの企業で品質改善の戦略として取り入れられています。また、彼は1997年に日本科学技術連盟からデミング賞本賞を受賞し、業界内外でその業績が認められました。さらに、同年に米国統計協会からはデミング学術賞を受賞しています。

学会活動と役割

狩野は2000年から2002年まで日本品質管理学会の会長を務めるなど、学術的な活動にも積極的に参加しています。米国品質管理協会のフェローにも選出されるなど、国際的にもその影響力を持っています。彼はE. Jack Lancaster Medal（2002年度）やE. L. Grant Medal（2007年度）といった受賞を受け、その業績が国際的に評価されています。

現在の活動

2013年以降は積水化学工業の社外監査役を務め、企業経営にも関わりを持ちながら、2008年から2015年まで小松製作所の社外取締役としても活動しました。これらの役割を通じて、狩野は品質管理の重要性を企業文化に根付かせる努力を続けています。

結論

狩野紀昭氏の業績は、製品の品質改善にとどまらず、教育界や企業経営においてもその影響力を増しており、彼が提唱する品質管理理論は今後も多くの人々に影響を与えることでしょう。

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