独露再保障条約

独露再保障条約の概要

独露再保障条約は、1887年6月18日にドイツ帝国とロシア帝国の間で締結された秘密の条約であり、一般には再保険条約や二重保障条約とも呼ばれています。この条約は、ビスマルク体制の一環として位置づけられていますが、オーストリア＝ハンガリー帝国には通告されずに結ばれたものであり、そのため当初から摩擦を抱えていました。ビスマルクが辞職した後の1890年、ドイツ側はこの条約の更新を拒否し、その結果、国際関係は露仏同盟へと変化していきました。

背景

独露再保障条約の締結は、三帝同盟の崩壊を受けてのものでした。ドイツは、ロシアとフランスという2国からの圧力を軽減し、二正面作戦を回避する必要に迫られていました。このため、ロシアがフランスに接近するのを防ぐ目的で、この条約が締結されたのです。

条約の内容

この条約の主要な内容は以下の通りです：

1. 既得権の認識: ドイツは、ロシアがブルガリアと東ルメリアにおいて持つ既得権を認めるとしました。
2. 外交支援: もしロシアがボスポラス海峡やダーダネルス海峡を占領した場合、ドイツは国際的な場でロシアを支持し、バルカン半島への進出を認めることとされています。
3. 中立の維持: 条約の締約国のいずれかが第三国と戦争を行う場合、他方は好意的中立を維持することが求められました。

このように、条約にはロシアとの関係を強化する意義があったものの、その裏にはオーストリアとの対立が潜んでいました。オーストリア＝ハンガリー帝国は、三国同盟においてドイツと同盟関係にあったため、ロシアとの接近は矛盾しており、結局は秘密裏に結ばれたものでした。

ビスマルク辞任後の変化

ビスマルクが辞任した1890年、ドイツ側は条約の更新を拒否しました。この決定は、国際関係における力の均衡に大きな影響を与え、結果として露仏同盟の形成を促進しました。独露再保障条約の消失は、ドイツが直面する新たな外交的課題を表し、ドイツの国際的な立場が変わったことを象徴しています。

結論

独露再保障条約は、19世紀の国際政治における重要な出来事の一つであり、ドイツとロシアの関係を深めようとする試みに見られる複雑さを示しています。外交政策は常に変わるものであり、協定の内容や背景を理解することは、当時の国際関係を知るための一助となります。また、この条約が露仏同盟へと繋がる道を開いたことは、以降の歴史的出来事にも影響を及ぼしました。

もう一度検索