狭山同盟休校

狭山同盟休校

狭山同盟休校（さやまどうめいきゅうこう）は、部落解放同盟（以下、解同）に所属する家庭の児童・生徒が、狭山事件の裁判に対する抗議として集団で授業をボイコットした運動です。「盟休」と略されることもあります。この運動は1976年から1984年まで継続されました。

概要

狭山同盟休校は、単なる授業のボイコットにとどまらず、独自の形式で行われました。児童・生徒は通常通り登校した後、全校生徒の前や校長室、職員室などで声明文を朗読し、自らが被差別部落の出身であることを宣言して下校しました。その後、校区の集会所などで学習会を開くという流れで行われました。

1976年1月28日に初めて実施され、同年5月22日には、全国19都府県連で1500校、10万人の児童・生徒が参加したとされています（ただし、この数字は解同側の公称であり、実際には欠席者を含めて17都府県、2万数千人程度の参加であったという資料も存在します）。大阪市立矢田小学校をはじめとする6校では、被差別部落出身以外の児童も参加し、学校全体での休校となりました。

解同は、狭山同盟休校の意義を次のように説明しました。

最高裁に上告中であった石川一雄被告の救援活動の一環として、部落差別に基づく冤罪を訴えること
狭山事件の捜査と裁判が被差別部落への偏見に満ちている現状を、同盟休校を通じて子供たちに知らせ、差別と闘える人間を育成すること

批判と反論

しかし、この運動に対しては、教育委員会や全国解放運動連絡協議会（全解連）、同和会などから強い批判が寄せられました。主な批判点は以下の通りです。

子供の教育を受ける権利と教育の中立性を侵害する行為であり、違法かつ違憲である。
同盟休校によって被差別部落出身であることが公になることで、新たな差別を生む可能性がある。

また、解同の内部でも、滋賀県連など一部の支部が本部の方針に反対し、同盟休校を拒否する動きがありました。これらの支部の中には、同盟休校の拒否を理由に解同から脱退し、全解連に加入したところもありました。

参考文献

部落解放同盟『狭山同盟休校の闘い―石川兄ちゃんは無実だ』（明治図書出版、1976年）
狭山1.28闘争実行委員会『狭山同盟休校の記録』（狭山1.28闘争実行委員会、1976年）
瀬川負太郎『部落問題の状況 糾弾、土地転がしの総決算』p.169-177（小倉タイムス、1985年）

関連項目

学校騒動
三里塚闘争 - 「少年行動隊」による同盟休校が行われた

外部リンク

解放教育体験記（狭山同盟休校など）

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