猫は抱くもの

猫は抱くもの

大山淳子による連作短編小説集『猫は抱くもの』は、2015年にキノブックスから単行本として刊行され、後に文庫化。2024年には講談社文庫版も登場しました。2018年には犬童一心監督、沢尻エリカ主演で映画化もされ、多くの人々を魅了しました。

概要

本作は、ロシアンブルーの良男と沙織、三毛猫キイロと絵描きのゴッホ、そして子猫と少女など、個性豊かな猫と人間たちの交流を描いた心温まる物語です。舞台は作者である大山淳子が実際に住む東京都東久留米市をモデルにしており、作中に登場する「青目川」は、実在する「黒目川」から着想を得ています。猫と人との関係性を丁寧に描き出し、それぞれのキャラクターが抱える葛藤や成長を通じて、読者に深い感動を与えます。

収録作品

良男と沙織
キイロとゴッホ
哲学者
それぞれのクリスマス
ルノワール

あらすじ

物語は、東京郊外を流れる美しい青目川にかかる「ねこすて橋」を中心に展開します。夜になると、様々な境遇を持つ猫たちが集まり、それぞれの悩みを打ち明け合います。ある夜、美しいロシアンブルーの良男が足を滑らせて川に流されてきてしまいます。良男は自分が人間で、沙織の恋人だと信じており、沙織の元へ帰ろうと奮闘しますが...

登場人物

良男: 自分が人間だと思い込んでいるロシアンブルー。
大石沙織: 良男が恋人だと思っている女性。元アイドル。
キイロ: 三毛猫。ゴッホと心を通わせる。
ゴッホ: 絵描き。キイロと共に生きる。
哲学者: ねこすて橋に集まる猫たちのまとめ役。
その他、池永良男、山下帆乃、片岡、奈良崎、仙吉、セン、ルノワールなど、個性的なキャラクターが登場します。

映画

2018年6月23日に公開された映画『猫は抱くもの』は、犬童一心監督がメガホンを取り、沢尻エリカが主演を務めました。原作の「良男と沙織」「キイロとゴッホ」をベースに、大胆なアレンジを加えたオリジナルストーリーが展開されます。猫たちは擬人化され、水曜日のカンパネラが劇伴を担当。映画は、第21回上海国際映画祭の長編劇映画コンペティション部門にも選出されました。

あらすじ（映画）

元アイドルの沙織は、過去を隠して田舎町のスーパーでレジ係として働いています。心を許せるのは、スーパーの倉庫で飼っているロシアンブルーの良男だけ。良男は沙織の話を聞くうちに、自分が人間で沙織を守る恋人だと信じ込むようになります。ある日、良男は沙織のそばにいたい一心で外へ飛び出し、行方不明になってしまいます。沙織が良男を探す中、東京のテレビ局からアイドルグループ再結成の話が舞い込み...

キャスト

大石沙織: 沢尻エリカ
良男: 吉沢亮
後藤保（ゴッホ）: 峯田和伸
キイロ: コムアイ（水曜日のカンパネラ）
その他、岩松了、藤村忠寿、内田健司など、実力派俳優が多数出演しています。

書籍情報

猫は抱くもの（キノブックス ISBN 978-4908059124 2015年4月18日）
猫は抱くもの（キノブックス〈文庫〉 ISBN 978-4-908059-98-8 2018年5月18日）
* 猫は抱くもの（講談社〈文庫〉 ISBN 978-4-06-534791-1 2024年2月15日）

エピソード

沢尻エリカは、良男役の猫を非常に可愛がり、撮影終了後に引き取って「グリグリ」と名付けました。また、劇中で安室奈美恵の楽曲を歌うシーンのために猛練習を重ねたそうです。

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