猫は負け犬

猫は負け犬：臆病な猫と鈍感な豚の珍騒動

『猫は負け犬』（原題：Scaredy Cat）は、1948年にワーナー・ブラザースが制作したメリー・メロディーズの短編アニメーション作品です。監督はチャールズ・M・ジョーンズ、脚本はマイケル・マルチーズが担当し、メル・ブランクが声を担当しています。旧吹き替え版では『恐怖の一夜』というタイトルで親しまれていました。

この作品は、臆病で言葉を話せない猫のシルベスターと、驚くほど鈍感な豚のポーキー・ピッグの組み合わせが物語の中心となっています。トゥイーティーとの喧嘩とはまた違った、シルベスターの新たな一面が描かれている点も注目です。

物語は、ポーキーが郊外の新居に引っ越すところから始まります。彼と一緒に引っ越してきたのは、飼い猫のシルベスターです。しかし、シルベスターはコウモリを怖がり、挙動不審な様子を見せます。ポーキーはそんなシルベスターに呆れながらも、キッチンで寝かせることにします。

夜、ポーキーがやっと眠りについたその時、シルベスターがベッドにしがみついていることに気づきます。ポーキーはシルベスターを部屋から追い出しますが、シルベスターは殺人ネズミたちが猫を処刑しようとしているのを目撃します。

言葉が話せないシルベスターはジェスチャーでポーキーに危険を知らせようとしますが、ポーキーはそれを理解できず、逆にシルベスターを怒鳴りつけます。絶体絶命の状況に追い込まれたシルベスターは、なんと拳銃で自殺を図ろうとします！

ポーキーは慌てて拳銃を取り上げ、仕方なくシルベスターを一緒に寝かせることにします。しかし、その夜もネズミたちにベッドごと落とされてしまうのです。鈍感なポーキーは全く気づかず、シルベスターに窓を閉めるよう頼みます。

その結果、シルベスターは勢い余って窓から転落。ボロボロになって部屋に戻ってきたシルベスターは、今度はネズミが鉄床を落とし掛けているのを見つけます。彼は間一髪で鉄床を受け止め、ポーキーを救いますが、ポーキーはそれを誤解し、またしてもシルベスターをキッチンに追いやります。

さらに、巨大なボウリングの玉が転がってきた際には、ポーキーを突き飛ばして身代わりとなり、彼を救います。気絶したシルベスターは、ポーキーによってキッチンに連れて行かれます。

その後も、壁に矢やナイフが刺さるなど危険な状況が続きますが、ポーキーは全く気づきません。恐怖で体が真っ白になったシルベスターは再びポーキーの部屋に現れ、ついにポーキーは激怒します。「犬を買えばよかった！」と後悔するポーキーは、シルベスターをキッチンに連れて行こうとしますが、シルベスターは恐怖で動こうとしません。

そこでポーキー自身でキッチンに向かってみると、なんと殺人ネズミたちに捕らえられてしまいます。その時になってようやく、シルベスターが正しかったことを理解したのです。

恐怖で逃げ出したシルベスターでしたが、彼の良心は彼を突き動かします。彼は大きな木を根こそぎ引き抜き、ネズミ退治に乗り出します。ネズミの大群は逃げ出し、ポーキーは救われます。

ポーキーはシルベスターに感謝しますが、突如現れた覆面を被ったネズミにシルベスターは殴り倒されてしまいます。覆面を取ったネズミは「猫はクレイジーな生き物よ！」と高笑いするのでした。

この作品は、初めてシルベスターの名前が登場した作品としても知られています。殺人ネズミたちのモデルは、ヒュービー＆バートのヒュービーであると言われています。日本では、テレビ東京の『バッグス・バニーのぶっちぎりステージ』やカートゥーンネットワークの『バッグス・バニーショー』などで放送されました。様々なDVDやVHSにも収録されています。

『猫は負け犬』は、独特なキャラクターと予測不能な展開、そしてどこかユーモラスな描写で、今もなお多くのファンを魅了する名作短編アニメーションです。

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