獅子の時代

『獅子の時代』の概要

『獅子の時代』は、1980年1月6日から1[[2月]]21日まで放送されたNHKの大河ドラマ第18作で、主演を務めたのは菅原文太と加藤剛です。この作品は、会津藩の下級武士・平沼銑次と薩摩藩の郷士・苅谷嘉顕を中心に、明治維新の激動の時代を生き抜く二人の人生を描いています。

物語の背景

物語は、1867年のパリ万国博覧会に飛びます。幕府は将軍・徳川慶喜の名代として徳川昭武を派遣し、平沼銑次も使節団の一員として参加します。一方、薩摩藩も独自に博覧会への参加を目指し、苅谷嘉顕がその一員として関わります。二人は強く対立しますが、それでも奇妙な友情を育むことになります。

逆境と成長

帰国後、銑次と嘉顕の前には戊辰戦争が待ち受けています。銑次は故郷・会津に戻り、会津戦争に参加しますが、幕府軍の敗北を経験します。その後、彼は人力車夫として東京で生活することになりますが、非業の罪を被り北海道の樺戸集治監に送られます。驚くことに、彼は脱獄を果たし、自由民権運動に身を投じることになります。

一方、勝利者である嘉顕は新政府の官僚として働きますが、理想主義と現実の狭間で次第に孤立していきます。彼は独自の憲法草案を作成しますが、その過程で非業の死を迎える運命をたどります。

特徴的な制作と演出

『獅子の時代』は、これまでの大河ドラマとは一線を画す特徴があります。大河ドラマとして、初めて架空の人物を主人公にした作品であり、中央政権の英雄たちに焦点を当ててきた昔のスタイルとは異なり、地方の草の根の庶民に光を当てています。特に、明治維新で“賊軍”の汚名を着せられた会津藩士の物語は、歴史の裏面を伝えています。

また、脚本は山田太一が担当しました。これは大河ドラマ初のオリジナル脚本であり、史実の年表に基づいて物語が進行します。制作時には、複数のロケ地を訪れ、リアリティある演出を目指しました。特に、パリでのロケは大変珍しい試みであり、実際に当時のフランスの雰囲気を味わいながら撮影が行われました。

音楽とテーマ

音楽には、宇崎竜童が手掛けたロック調のテーマ音楽が使用され、これもまた大河ドラマとして初の試みでした。この音楽は、世代を超えた視聴者を引きつける要因ともなりました。

反響と評価

作品は最高視聴率26.7%、平均視聴率21.0%を記録し、大河ドラマの水準としては高い評価を受けました。歴史に執着せずに、草の根の人々の物語を描くことで、新たな視点から明治維新を見つめ直すことに成功しました。

登場人物

• - 平沼銑次：会津藩士で、本作の主人公。パリで西洋文化と出会い、戦争に翻弄されながらも反骨精神を持つ。
• - 苅谷嘉顕：薩摩藩士。勝者となり、新政府で活躍するが、理想と現実の壁に苦しむ。
• - もん（小此木美津）：平沼銑次に助けられた芸者。
• - その他にも、家族や同士たちが描かれ、それぞれの視点が物語に深みを与えています。

最後に

『獅子の時代』は、単なる歴史ドラマを超え、多様な視点から日本の明治維新を描いた意義深い作品です。視聴者に新たな歴史の理解を促し、草の根の人々の奮闘を通じて、人間の強さと切なさを映し出しています。

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