獲物の分け前

獲物の分け前

エミール・ゾラが1871年に発表した小説『獲物の分け前』（原題: La Curée）は、第二帝政下のパリを舞台に、再開発による不動産投機と、愛憎渦巻く人間模様を描いた作品です。

あらすじ

主人公は、成り上がりの投機家アリスティッド・サッカール。彼は、パリの再開発計画に目をつけ、不動産投機で一攫千金を狙います。そのために、莫大な遺産を持つルネと結婚しますが、夫婦の間には愛はなく、ルネは満たされない日々を送ります。

そんな中、ルネはアリスティッドの連れ子であるマクシムと出会い、禁断の愛に溺れていきます。欲望と策略が渦巻く社会で、彼らの愛はどのような結末を迎えるのでしょうか。

主な登場人物

アリスティッド・ルーゴン・サッカール: 不動産投機で成功を夢見る男。野心家で、金のためなら手段を選ばない。
ルネ・サッカール: アリスティッドの妻。退屈な生活に嫌気がさし、マクシムとの愛に逃避する。
マクシム・ルーゴン: アリスティッドの連れ子。ルネと許されない関係になる。

映画化

1966年には、ロジェ・ヴァディム監督によって映画化されました。主演は、当時の妻ジェーン・フォンダ。舞台を1960年代のフランスに移し、ジェーン・フォンダのヌードを多用するなど、エロティックな描写が強調されています。

映画版ストーリー

莫大な遺産を相続した美しいルネは、実業家のアレクサンドル・サッカールと結婚しますが、愛のない結婚生活に不満を抱いています。そんな時、ルネはアレクサンドルの息子マクシムと出会い、激しい恋に落ちます。離婚を決意したルネでしたが、アレクサンドルは彼女の財産を事業につぎ込んでおり、離婚の条件として財産の放棄を提示します。マクシムへの愛に盲目となったルネはその条件をのんでしまいます。しかし、離婚手続き中にアレクサンドルはマクシムを金持ちの娘と婚約させ、その事を知ったルネは絶望のあまり自殺を図ります。

キャスト

ルネ: ジェーン・フォンダ

スタッフ

監督: ロジェ・ヴァディム
脚本: ロジェ・ヴァディム、ジャン・コー
音楽: ジャン・ブシェティー、ジャン・ピエール・ブルテール

小説の魅力

『獲物の分け前』は、欲望に翻弄される人々の姿を赤裸々に描き出した作品です。ゾラは、登場人物たちの心理を深く掘り下げ、人間の本質を鋭く抉り出しています。また、当時のパリの社会情勢や風俗をリアルに描写しており、歴史小説としても楽しめます。

日本語訳

中井敦子訳、ちくま文庫、2004年5月
* 伊藤桂子訳、論創社〈ルーゴン＝マッカール叢書 第2巻〉、2004年11月

この機会にぜひ、『獲物の分け前』を手に取ってみてください。

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