ロジェ・ヴァディム

ロジェ・ヴァディム（本名：ロジェ・ウラジミール・プレミャニコフ）は、1928年1月26日にパリで生まれ、2000年2月11日に亡くなったフランスの映画監督です。彼は映画監督としての才能だけでなく、そのプレイボーイぶりでも有名でした。

生涯

ヴァディムの父、イゴール・プレミャニコフは、ウクライナからの白系ロシア移民で、後にフランスに帰化し、エジプト副領事にまでなりました。しかし、ヴァディムが9歳の時に父親が亡くなり、母親と共にフランスへ帰国しました。母親はアルプスの麓で民宿を経営し、戦時中はユダヤ人をスイスへ逃がすための拠点としても利用されていたそうです。

16歳で舞台俳優としてデビューしたヴァディムは、1947年にアンドレ・ジッドの紹介で映画監督マルク・アレグレの助手となり、脚本家としてのキャリアをスタートさせました。1950年から1956年まで脚本を手掛け、並行してパリ大学でジャーナリズムを学びました。

1952年、ヴァディムは当時モデルだった18歳のブリジット・バルドーと結婚。1956年、28歳で監督デビュー作となる『素直な悪女』で、22歳の妻バルドーを主演に抜擢しました。この作品でバルドーは一躍セックスシンボルとしてスターダムを駆け上がりましたが、彼女は共演のジャン＝ルイ・トランティニャンと恋に落ち、1957年に離婚しました。しかし、その後も『何がなんでも首ったけ』（1961年）などでバルドーと仕事を共にしています。

1958年にはデンマークのビール会社ツボルグの広告モデルだったアネット・ストロイベリと結婚。彼女をアネット・ヴァディムと名付け、『危険な関係』や『血とバラ』に出演させ、娘ナタリーをもうけますが、2年で離婚。その後、1961年からはカトリーヌ・ドヌーヴと交際し、息子クリスチャンを授かります。ドヌーヴ主演の『悪徳の栄え』を製作・演出しましたが、結婚には至りませんでした。

1965年にはジェーン・フォンダと結婚し、『獲物の分け前』や『バーバレラ』など、フォンダ主演の作品を監督しましたが、1973年に離婚。娘のヴァネッサがいます。1975年には衣装デザイナーと結婚するも数年で離婚し、一児をもうけました。1983年には、ドヌーヴとの息子クリスチャン・ヴァディムを主演に迎えた青春映画『さよなら夏のリセ』を監督しました。

1990年、女優のマリー＝クリスティーヌ・バローと結婚し、1994年には夕張国際ファンタスティック映画祭の審査員として来日しました。彼はガンで亡くなるまでバローと添い遂げました。

ヴァディムの著書『我が妻バルドー、ドヌーヴ、J・フォンダ』（吉田暁子訳、中央公論社　1987年）は日本語にも翻訳されています。

主な監督作品

素直な悪女 (1956年)
大運河 (1957年)
月夜の宝石 (1958年)
危険な関係 (1959年)
血とバラ (1960年)
何がなんでも首ったけ (1961年)
戦士の休息 (1962年)
新・七つの大罪 (1962年)
悪徳の栄え (1963年)
スウェーデンの城 (1963年)
輪舞 (1964年)
獲物の分け前 (1966年)
世にも怪奇な物語 (1967年)
バーバレラ (1967年)
課外教授 (1971年)
花のようなエレ (1972年)
華麗な関係 (1977年)
ナイト・ゲーム (1980年)
さよなら夏のリセ (1983年)
フェアリーテール・シアター (テレビドラマ、1982年 - 1987年)
シーズン3エピソード6「美女と野獣」 (1984年)

備考

ヴァディムは、1950年代後半に流行し始めたアメリカ音楽を流して踊る社交場を「ディスコテーク」と名付けた人物であると言われています。自伝によると、アネット・ストロイベリとの出会いはディスコであり、カトリーヌ・ドヌーヴとの出会いもディスコだったと述べています。

1950年代後半から60年代前半にかけて、ヴァディムは多くの作品でモード・ジャズを使用しました。日本では「シネ・ジャズ」と呼ばれるムーブメントの牽引者として知られ、アート・ブレイキーによる『危険な関係のブルース』やジョン・ルイスによる『大運河』は、1960年代からのジャズ喫茶ブームと共に語られる代表曲となっています。

外部リンク

ロジェ・ヴァディム - allcinema
ロジェ・ヴァディム - KINENOTE
Roger Vadim - IMDb（英語）
Roger Vadim - BiFi （フランス語）
Roger Vadim's biographic sketch at Find A Grave

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