玄箱

玄箱（KURO-BAKO）とは

玄箱（くろばこ）は、[玄人志向]]が2004年2月に発売したネットワークアタッチトストレージ]機器です。「[[玄人志向の箱」という名前の由来通り、外付けHDDボックスとして販売されていました。

概要

玄箱は、ハードディスクが付属しないキット型の製品として販売されました。ユーザーは別途ハードディスクを用意する必要がありましたが、その分価格が抑えられ、自由にハードディスクを選べる点が人気を博しました。その人気から、他社も同様の製品を発売するきっかけとなりました。

低価格ながらLinuxが稼働し、開発環境も提供されたため、DebianなどのLinuxディストリビューションをインストールして格安なLinuxマシンとして利用したり、ハードウェアを改造したりするユーザーも現れました。

当初の筐体はバッファローのLinkStationのケースを黒く塗装したものでしたが、人気が急騰し生産が追いつかず、予約を打ち切る販売店も出るほどでした。そのため、ネットオークションを中心に転売が横行しました。

2004年9月には玄箱専用設計の筐体に切り替えられ、生産効率が向上しました。また、他社からも同様の製品が発売されたことで、品不足は解消されました。その後、バッファローの海外法人名義で、海外向けモデルであるKURO-BOXが発売されました。

後に、メモリとCPUを強化しGigabit Ethernetに対応した、玄箱/HGがラインナップに追加されました。

スペック上の課題と対策

設計パーツと実装パーツの違いから、クロックジェネレータの生成するクロックが設計値よりも低く、時刻がずれるという問題を抱えていました。また、HDDのスピンアップタイムの処理が適切でなく、起動に失敗することもありました。これらの問題に対して、ハードウェアまたはソフトウェア的な対策が考案されました。

派生モデル

2005年12月下旬にはACアダプタ仕様のKURO-BOXXとKURO-BOX/HGXの2モデルが限定販売されました。また、2007年にはSATAコネクタやPCI Expressスロットを搭載したKURO-BOX/PROが発売されました。KURO-BOX/PROは、外観こそLS-GLシリーズに似ていますが、基板はほぼ別物です。

他社製品との比較

挑戦者ブランドのLAN Tank（開発コード名：白箱）や、玄箱/HGに相当するGLAN Tankなどが競合製品として挙げられます。また、2008年にはKURO-NAS/X4、2009年にはKURO-BOX/T4が発売されました。

ハックによる成果

玄箱のUARTからシリアルレベルへの変換に携帯電話用の部品が利用できることが発見され、安価にRS-232Cレベルへ変換する手段として普及しました。この成果は他の機器にも応用され、USBシリアルへの変換にも同様の製品が流用されています。

オプション

玄箱には、以下のようなオプション品が販売されていました。

SCON-KIT/PRO：玄箱/PRO専用のシリアルコンソールキット
KURO-BOX/PARTS：ベゼル、導光器、空冷ファンのセット
KURO-RS：USB接続赤外線学習リモコンキット
KURO-SATA：玄箱でSATAデバイスを利用するための変換基板

これらのオプション品は、2011年10月現在、既に生産・販売を終了しています。


玄箱は、その手軽さと自由度の高さから、多くのユーザーに愛されたNAS機器でした。現在では後継機種や類似製品が多数存在しますが、玄箱はその草分け的な存在として、記憶されるべきでしょう。

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