玉ねぎ横丁の花嫁さん

『玉ねぎ横丁の花嫁さん』は、1976年10月14日から1977年2月3日にかけて、NETテレビ（現在のテレビ朝日）系列で毎週木曜日の21時台に放送された連続テレビドラマです。全17話が製作され、人気シリーズ『だいこんの花』から連なる、通称「野菜シリーズ」の第九弾にあたる作品として位置づけられています。

物語の主要な舞台は、都内のある場所にある「玉ねぎ横丁」。この横丁に住む人々の生活や人間関係が、ユーモアと人情味を交えて描かれます。中心となるのは、主人公の女性、加代子、その過去と深く関わる元夫の銀平、そして加代子の新しい夫となる石橋渡とその家族、特にピアノ運送店を営む石橋家の人々です。好奇心旺盛で個性豊かな横丁の住人たちが織りなす日常の出来事や騒動が、このドラマの魅力となっています。

物語は、主人公・加代子の過去から始まります。昭和43年の冬、加代子は結婚して3年目の夫、花丸銀平に突然姿を消されてしまいます。夫を探すため、加代子は奇術師として地方を巡る旅芸人のような生活を送ることになります。

そしてドラマの幕が開くのは、それから8年後の昭和51年。夫を待ち続けた加代子は、新たな一歩を踏み出すべく東京の玉ねぎ横丁に引っ越してきます。そこでピアノ運送店を営む石橋家の長男、石橋渡と出会います。渡は加代子に一目惚れし、熱烈なプロポーズ。加代子もそれを受け入れ、二人は晴れて結婚することになります。

新婚生活をスタートさせ、幸せいっぱいの加代子と渡。しかし、加代子が新居の隣家へ結婚の挨拶に伺った際、そこで信じられない人物と再会することになります。なんと、それは8年前に忽然と姿を消したはずの前夫、銀平だったのです。蒸発した夫が、再婚相手の自宅の隣に住んでいたという衝撃の事実に、加代子は驚きを隠せません。

この偶然の再会をきっかけに、加代子、渡、銀平の三人の関係性は複雑に絡み合い、玉ねぎ横丁全体を巻き込む騒動へと発展していきます。蒸発の理由や空白の8年、そして加代子の新たな結婚生活を巡って、様々な人間模様が繰り広げられます。横丁の住人たちは、この一件に首を突っ込み、噂話や助言、時にはお節介を焼きながら、物語をさらに賑やかなものにしていきます。こうした住人たちの活き活きとした描写も、このドラマの大きな特徴です。

キャストには、花丸銀平役を杉浦直樹、石橋（花丸）加代子役を香山美子、石橋渡役を石立鉄男が演じ、物語の中心を担います。その他、銀平の内妻役で春川ますみ、一心亭の源太郎役で大坂志郎、加代子の父役で佐野浅夫、渡の母役で沢村貞子、野田巡査役で谷啓、銀平の弟役で岡田裕介、渡の妹役で中西百合子、銀平の子役で荒木康一郎、新聞販売店主役で牟田悌三、菊乃屋の邦子役で中原早苗ら、実力派俳優陣が顔を揃えました。また、歌手の八代亜紀が本人役でゲスト出演し、ドラマに華を添えています。

脚本はジェームス三木が担当し、人情味あふれるセリフ回しと巧妙なストーリー展開で視聴者を引きつけました。制作はNETが行っています。

主題歌は八代亜紀が歌う「あい逢い横丁」。作詞はジェームス三木、作曲はいずみたく、編曲は親泊正昇が手掛けました。この楽曲も、ドラマの世界観を盛り上げる上で重要な役割を果たしています。

『玉ねぎ横丁の花嫁さん』は、突然の出来事から始まるドラマティックな展開と、温かい人間関係が描かれるホームコメディの要素が融合した作品として、当時の視聴者に愛されました。蒸発した夫との再会というユニークな設定を通じて、家族とは何か、幸せとは何かを問いかけながら、笑いと涙を提供したドラマです。

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