玉之浦納の反乱

玉之浦納の反乱

玉之浦納の反乱（たまのうらおさむのはんらん）は、1507年に五島の宇久家に対して起きた大規模な武力闘争です。この反乱は、宇久家の断絶の危機や玉之浦家の台頭と密接に関連しており、五島の歴史における重要な出来事の一つとされています。

宇久家の断絶の危機

五島の第9代領主である宇久覚（うくさとる）は、多くの家臣が集う中、庶子を後継者とせず、阿野家から松熊丸を養子として迎えることになりました。この決断に対して家臣の中には不満を抱く者もいましたが、松熊丸は宇久勝と名を改め領主となり、名君として統治していきました。彼の統治は徐々に家臣たちの不満を和らげました。

一方、玉之浦家は宇久家第3代の子孫であり、漁業や貿易に力を入れることで経済的に成長しました。宇久家の断絶に伴い、玉之浦家から新たな君主が誕生することが期待されていた可能性があります。このような背景から、玉之浦納が反乱を起こした理由も考えられます。

反乱の発端

反乱が勃発したのは、1492年にさかのぼります。この年から宇久覚に仕える玉之浦納は、覚の娘と結婚し、家族関係を築きました。しかし、彼はすでに反乱の準備を進めていたと言われています。1507年7月2日、覚が亡くなり、19歳の嫡子囲が新たに家督を継承しました。納は同年12月24日に反乱を決起させました。

囲は納の反乱に対抗し、大久保日向家次に討伐を命じましたが、大久保は事前に反乱の計画を察知していました。それでも事態の拡大を止めることはできませんでした。囲が辰之口城に籠もる中、納は包囲を開始し、次第に優位に立っていきました。

落城と逃避

囲は最終的に脱出を決意し、家臣と共に城を離れ、逃亡を図りました。大久保も彼を助けようとしましたが、囲は彼の家族を守るために自らの命を捧げる決断を下しました。囲は最終的に自刃し、その後、大久保一行は裏山で隠れ、弥惣右衛門の助けを借りて何とか逃げ延びました。

玉之浦納の統治とそして死

玉之浦納が反乱に成功すると、彼は大宝館に居座り自らの勢力を確立しましたが、五島の人々からは反逆者として認知されていました。この時期、五島は「五島の暗黒時代」と呼ばれる無記録の時代に突入します。果たして納がどのように統治していたのか、詳細はわかりませんが、地域の伝承によると納は周囲の人々との関係を築いていたようです。

永正18年、納の統治に対する不満が高まり、散発的な動きが見られるようになりました。再興を望む大久保家次と松浦興信の協力により、玉之浦納を討つための軍が動き出しました。1562年には、納は自らの家臣とともに自決することになり、その後も名を残すこととなりました。

今もなお、納と彼の家族に捧げられる供養が続き、地域の記憶に残る歴史的な出来事として語り継がれています。

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