松浦興信

松浦興信（まつら おきのぶ）

松浦興信は、戦国時代の肥前国（現在の長崎県の一部）で活躍した武将であり、松浦氏の24代当主です。彼の一族は松浦氏の中でも平戸松浦氏という一門に属していました。

平戸松浦氏の隆盛

平戸松浦家は、元々松浦氏の分家に過ぎませんでしたが、興信の曽祖父である松浦義（平戸義とも）の時代に、室町幕府6代将軍・足利義教から厚い信頼を得て以来、本家筋にあたる相神浦松浦家を凌ぐほどの勢力を持つようになりました。

興信の祖父である松浦豊久には6人の子がおり、平戸松浦家の家督は次男の弘定が継ぎました。長男の昌は田平峯家（田平氏）へ養子に出されましたが、後に田平氏を追われ、平戸松浦家の家督を巡って弟の弘定と対立します。しかし、近隣の志佐氏と敵対するようになると、弘定と和解。大内義興の援助を受けて志佐氏を滅ぼし、自身が志佐の領主となり志佐純元と名乗りました。和解の証として、弘定は昌の実子である源三郎（後の興信）を後継者としました。

相神浦松浦家との対立

松浦氏の嫡流にあたる相神浦松浦家（宗家松浦氏）との関係は険悪で、弘定は度々争いを繰り広げました。明応7年（1498年）には、相神浦（現在の佐世保市）の大智庵城を攻め、松浦政を滅ぼしましたが、この戦いには源三郎も参加していたとされています。

大内氏との関係と上洛

永正5年（1508年）、興信は大内義興に従って足利義尹（義稙）を奉じて上京し、その功績を賞されました。永正12年（1515年）に先代当主の弘定が亡くなると、源三郎が家督を継承しました。当時の北九州で大きな力を持っていた大内義興に臣従し、その偏諱を賜って興定（「定」は養父・弘定から一字を取ったもの）と名乗り、後に興信と改名しました。

勢力争いと交易

少弐氏や有馬氏、そして後に龍造寺氏と結んだ相神浦松浦家の松浦親（政の子）の勢力は依然として強く、当時の平戸松浦家の基盤は決して盤石とは言えませんでした。大内義興は重臣の陶道麒を派遣して龍造寺家兼を討たせ、平戸松浦家を支援しようとしましたが、これは失敗に終わります。最終的には波多興らとの間で和議が成立しました。義興の死後も、その子である大内義隆に仕え、李氏朝鮮や明との交易を行い、莫大な利益を上げました。しかし、興信の死後には家督争いが再燃してしまいます。

宇久氏との連携

宇久氏（後の五島氏）とは縁戚関係にあり、先代の弘定の時代に起きた玉之浦納の反乱によって避難してきた宇久盛定を支援し、永正18年（1521年）の盛定の旧領復帰に大きく貢献しました。

参考文献

長崎県教育会 編『国立国会図書館デジタルコレクション 大礼記念長崎県人物伝』長崎県教、1901年。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/960654/123（国立国会図書館デジタルコレクション）

関連項目

松浦党
* 玉之浦納の反乱

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