玉川勝太郎

玉川勝太郎 - 浪曲名跡の系譜

初代 玉川 勝太郎

初代玉川勝太郎（1881年3月10日 - 1926年6月24日）は、東京府本所区で生まれ、本名は鈴木鎌治郎です。彼は浪曲界の巨星であり、青木昇の弟子としてその道を歩き始めました。彼は青木勝太郎の名を名乗った後、玉川勝太郎と改名されました。初代勝太郎は小音ながらも新内調の節で表現力豊かな浪曲を披露し、「越後伝吉」や「天保水滸伝」などの侠客物を得意としました。このような彼の功績は、樋口罔象によって「玉川勝太郎の浪花節は東京の誇りである」と称賛されました。

彼は向島言問に自らの寄席「玉川亭」を経営しましたが、経済的には失敗に終わりました。その後、喉を痛めて千葉県市川に隠棲し、余生を過ごしました。彼の特筆すべき弟子には小金井太郎（後の玉川太郎）や二代目勝太郎がいます。

2代目 玉川 勝太郎

2代目玉川勝太郎（1896年5月1日 - 1969年8月13日）、本名は石渡金久で、東京市牛込区で生まれました。彼は浪曲を愛する父の影響で若くからこの道に進み、17歳という若さで初代に弟子入りしました。彼は玉川次郎として修行を積み、後に「玉川の両翼」とされる兄弟子の玉川太郎と力を合わせて活動しました。特に彼の関東節に磨きをかけ、多くの任侠物における才能を発揮しました。

1932年には2代目玉川勝太郎を襲名し、「天保水滸伝」や「清水次郎長伝」などが彼の十八番として知られています。特に「天保水滸伝」では、正岡容の作詩による名調子が多くの人々に愛されました。勝太郎はこの楽曲について「僕のネタだが、正岡が大きく手を加えた結果、名文になった」と評価し、正岡も彼の語りを賞賛しました。

巨躯で視力が極度に悪かったものの、数々の逸話も残している彼は、1964年に引退し「玉川勝翁」と名乗りました。その後も新作に挑戦し続けましたが、1969年に脳軟化症で亡くなりました。

3代目 玉川 勝太郎

玉川勝太郎の名跡は3代目（1933年5月20日 - 2000年10月4日）へと受け継がれました。本名は石渡栄太郎で、2代目の娘婿でした。1947年にわかの浦孤舟に入門し、翌年には2代目の門下に移籍。名を変え初代福太郎を名乗りました。1964年に3代目玉川勝太郎の名を襲名し、伝統的な任侠物を継承しました。

彼は特に浪曲が不振に苦しむ時代にあって日本テレビの「お昼のワイドショー」に登場し、市井の人物の物語を浪曲スタイルにアレンジした「人間シリーズ」で多くの関心を集めました。1989年には文化庁芸術祭賞を受賞し、1994年からは日本浪曲協会の会長を務めました。残念ながら、2000年に肝臓癌で亡くなり、三代にわたる玉川勝太郎の名跡はその歴史を締めくくることになりました。

結論

玉川勝太郎は浪曲の発展と存続に寄与した重要な存在であり、その名跡は今も多くの人々によって語り継がれています。彼の弟子たちもまた、その伝統を受け継ぎ、未来に向けて新たな形での浪曲の魅力を伝えていくでしょう。

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