玉泉洞

玉泉洞（ぎょくせんどう）

沖縄県南城市玉城前川に位置する玉泉洞は、広義には雄樋川（ゆうひがわ）流域に広がる全長5,000メートルを超える洞窟群を指し、狭義にはその一部である前川第6洞を指します。この洞窟群は、沖縄島南部の地質構造によって形成された複雑な地形の中に存在します。

地質と洞窟形成

沖縄島中南部は、第三紀の泥岩層（島尻層群）の上に第四紀の礁性石灰岩層（琉球層群）が重なる地質構造をしています。この石灰岩層が、長年の侵食によって多くの洞窟を形成しました。玉泉洞を含む周辺の洞窟群は、「玉泉洞ケイブシステム」と呼ばれていましたが、1971年の調査により「ユヒ川地下川洞穴」という名称でも知られるようになりました。

観光洞としての玉泉洞

玉泉洞は、おきなわワールドの一部として一般公開されており、その観光洞は約800メートルの長さがあります。観光用に整備された歩道の最高点は海抜14.4メートル、最低点は海抜4.7メートルです。1972年4月28日に観光鍾乳洞としてオープンし、1987年9月には世界初となる洞内エスカレーターが設置されました。これにより、洞窟内の移動が容易になり、多くの観光客が訪れるようになりました。

雄樋川の河谷の地下30メートルには水流があり、この水が洞窟内を流れています。川は上流で洞窟に流れ込み、下流で再び川に戻るという独特の構造を持っています。

洞窟内の生態系

玉泉洞内には、オキナワコキクガシラコウモリ、オオウナギ、ミズギワゴミムシ、オヒキコシビロザトウムシ、オビヤスデ、クロイワトカゲモドキなど、多様な生物が生息しています。これらの生物は、洞窟内の閉鎖的な環境に適応して生活しており、特有の生態系を形成しています。

古酒の貯蔵

旧入道口のトンネル状階段は、洞窟内の安定した温度条件を利用して、古酒（クース）の甕を貯蔵する場所としても利用されています。この場所で熟成された古酒は、特有の風味を持つとされています。

周辺の主な洞窟

玉泉洞周辺には、以下のような洞窟が存在します。

前川第2洞（マジムン洞）
前川第3洞（珍々洞、イキガ洞）：天井には層理に沿って落盤した跡が見られます。
前川第6洞（玉泉洞）
前川第8洞（武芸洞）：全長40メートルで、かつて近隣住民が武芸や踊りの稽古をしていたことに由来します。武芸洞遺跡も存在します。
前川第11洞（天然橋B）：前川第12洞の西に位置します。
前川第12洞（天然橋C）：武芸洞の西90メートルに位置します。
前川第13洞（風葬穴）

これらの洞窟群は、玉泉洞と共に、沖縄の自然と歴史を物語る重要な場所となっています。

参考文献

下謝名松栄『カラー百科シリーズ4　沖縄の自然　島の自然と鍾乳洞』新星図書、1976年。
木崎甲子郎編集代表『沖縄の自然 その生い立ちを訪ねて』平凡社、1975年。

関連情報

南都 ([[沖縄県の企業)]]：玉泉洞を運営する企業です。
外部リンク
沖縄ワールド 文化王国・玉泉洞

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